第2章48話:人魚
人魚が突っ込んできた。
できるだけ接近してきたところを見計らって、爆弾のスイッチをオン。
ビジリィッと電流音が炸裂して、周囲に電気が広がった。
人魚が痙攣して白目になる。
そして無事、気絶したか、だらんとしたまま水面に向かって浮上していった。
……作戦成功だ。
私はそれを追いかける。
「ぷはっ!!」
水上に顔を出す。
そこそこ長く水中にいたので、酸素が美味しかった。
私は、気絶した人魚を抱きかかえて、フランカたちのいる陸まで泳いでいった。
途中、電撃の巻き添えを食らった魚たちがプカプカと水面に浮かんでいたが、押しのけて泳いだ。
フランカたちは、私と人魚を見るなり驚愕の顔を浮かべた。
「人魚! 人魚ですよ、エドゥアルトさん!」
フランカが興奮していた。
「あ、ああ。でも、気絶しているようですよ? いったい何があったんでしょう?」
エドゥアルトは状況がわからず混乱していた。
私は人魚を陸に引き上げる。
「はぁ……はぁ……はぁ……結構、疲れましたわ」
陸に上がるなり、私は座り込んだ。
肩で息をする。
エドゥアルトが尋ねてくる。
「あの、ルチル様……これはいったい?」
「見ての通り、人魚ですわ。実はこの人魚、正気を失っていたようでして……襲ってきたので撃退しましたの」
私の説明に、エドゥアルトは驚愕した。
「水の中で戦ったんですか? それはなんというか、凄いですね」
「念のために作っておいた錬金術アイテムのおかげですわ……さて」
もうひと仕事するために立ち上がる。
「もう一度湖に潜ってきます」
「また行くんですか?」
フランカの問いに、私はうなずく。
「人魚と戦っていたせいで、スキル石を回収しそびれてしまいましたので」
そう言い残して、私は再度、湖に入っていった。
もう人魚に襲われる危険はないので、じっくりと遊泳できる。
ぐるりと湖を一周するように泳ぐ。
泳ぎながら周囲を探した。
探す。
探す。
探す。
……あれ?
スキル石、ない。
見落としたかな?
そう思って、一度水上で呼吸をしてから、また潜って探し始める。
うん、やっぱり無いな。
(いや、何故……?)
困惑しつつ、私はいったんフランカたちの元に戻った。
すると、人魚が目を覚ましていた。
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