第2章:スキル石

第2章30話:路地裏へ



同じ年の夏の終わり。


9月。


自室にて。


私は、自身の戦力アップのために出来ることを考えていた。


武力を強化することは、いざというときの助けになるからだ。


(そろそろスキル石を集めようかな)


使用すると、スキルを習得することができる石―――スキル石。


ゲームにはそれを販売する【スキル商人】がいる。


私は、そのスキル商人からスキル石を購入するために、これまで金策をしてきた。


そして、そろそろ十分な資金が貯まりつつあった。


だからスキル石を収集し始めてもいいかと思ったのだ。


(善は急げだね。さっそく領都にいるスキル商人のもとへ行ってみよう)


そう考え、私は屋敷を出る。








護衛の執事を連れて、屋敷の門をくぐると中央広場に向かった。


広場に面する商業ギルドに入る。


受付カウンターにて、私は自身の口座からお金を下ろす手続きをする。


私の口座には、ルチル商会からの利益が一部入ってきている。


売上の1割ほどだ。


たった1割ではあるが、莫大な資産となっていた。


トマトケチャップなどの調味料。


それからシャンプーやトリートメントの売上が入ってきているからだ。


今回は、これらの貯金を引き落とすことにする。


1億5000万ディリンほど口座から引き出し、それを収納しようとする……


が。


そこでふと考える。


手に持った物やお金を、そのままアイテムボックスに収納するのは危険だろうと。


収納魔法の存在はなるべく周囲に知られないほうがいい。


だからアイテムバッグに納めると見せかけて収納魔法で異空間に放り込む……という流れで収納することにした。








さて、その足でスキル商人のいる場所へ向かう。


公爵領都の路地裏。


はたして、その場所にスキル商人の姿があった。


路地裏の奥、日陰になった暗がり。


そこにローブを羽織った怪しげな商人が露店を開いている。


私は護衛の執事を離れた場所で待機させ、一人で商人のもとへ向かった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る