第3章〜ピグマリオン効果・教育心理学における心理的行動に関する考察〜⑭
三軍男子の
「深津! 《YourTube》にアガってた動画、見たぜ! 本番でも
「いや、アレはあのとき一回だけだ……オレが出ても、瓦木さんに迷惑が掛かるだけだろう?」
「妹ちゃんとのコンビは見せてくれるんだよね? 新ネタとか無いの?」
「あ〜、ネタを考えてるのは、オレじゃないからな〜。本番に出演するかどうかは妹次第だ……」
以前、ヘアスタイルを変えたときに話しかけてきた一軍半の女子ふたりだけでなく、
それは、悪いことばかりではなかったが、中等部に入学してから、教室内で多くの生徒とコミュニケーションを取るタイプでなかった彼にとって、負担は小さくなかった。
さらに、
そんなこともあって、
(あぁ……クラスの中で、ほとんど空気に近い存在だった頃がなつかしい……)
と、
「おっ! 思った通りだ! ここに居たか?」
「
「なにを甘えたことを言ってやがる? その放課後の話しをするために、お前を探してたんだよ。これまでは、色々とスケジュールが立て込んでたんだろうが、とりあえず、三日月祭までやることはなくなっただろう? 例のドキュメンタリーの編集は順調なのか? そのことを部長サマに確認しに来たんだよ」
映像文化研究会の副部長にして、悪友である
(あぁ、やっぱり、そのことか……)
と、予想どおりの言葉に、軽くため息をつきつつ、
「素材になる映像が多くてな……編集には、ちょっと、時間が掛かりそうだ」
「そうか……まあ、ひと月前は、
(オレの事情を察しているのか?)
などと友人の発言をいぶかしく感じながら、実際のところ、
映文研の自称・天才軍師は、亜矢の提案してきたイメチェン企画に協力する見返りに、
「カメラのチカラで、キラキラの一軍女子サマの
と、計画を持ちかけてきたが――――――。
ひと月以上、彼女と行動をともにしてきた
本来の自分たちの目的を明かさないまま、彼女と行動をともにしていたことに対する後ろめたさもあり、彼は、ドキュメンタリー作品としてのテーマを完全に見失ってしまったのだ。
自身の中でテーマがなくなってしまうと、当然、ドキュメンタリーの編集方針にも影響が出る。
彼自身が撮り溜めたものだけでなく、映文研のメンバーやクラスメートの協力のおかげで、映像素材は十分すぎるくらい揃っていたが、作品の方向性や方針が決まらないまま、編集作業にも入れず、悶々とした感情を抱えた状態で、この数日、
彼が無言のまま、悪友が語った言葉について、あらためて考えていると、その友人は、独り言でもつぶやくように語り始めた。
「そういや、あの
悪友の言う「
「あぁ、そうだな……」
と、軽くほほえみながら、返答する。
すると、
「まぁ、なんにしても、今回のドキュメンタリーは、高校生活最後の作品になるだろう? 『映像甲子園』と三日月祭の出品作として、悔いの残らないように仕上げろよ」
という言葉を残して去っていく。
(あいつに気をつかわせるとは……オレは、部長失格だな)
もう一度、
貴重な昼休みも、そろそろ終わりの時間が近づいてきたので、腰掛けていたベンチから立ち上がると、スマホが小刻みに震える。
画面を確認すると、柚寿からメッセンジャーアプリの《LANE》に、メッセージが届いていた。
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土曜日の舞台が成功したので、
亜矢ちゃんにお礼をしたいけど
放課後どこにいるか知ってる?
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メッセージの内容からもわかるとおり、妹の
「今日のネタが上手くいったのは、亜矢ちゃんが、お
と、イメチェン計画の講師役のプロデュース
彼は
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放課後は、執事喫茶のための
買い出しに行くかもと言ってた
直接、予定を聞いてみたら?
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自分とは違って、クラスの
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