第39話 セレナの母上

部屋を出たら、近くにある道を進んでいく。


進むにつれ兵士達が増え、道も狭くなっていく。


当然、俺達を引き止めるような兵士はいない。


何故なら、厳重な警備を抜けた先に待っているのは……王族専用という場所だからだ。


道を抜けた先は、吹き抜けの天井となっており開放的な広い空間が広がっている。


階段は螺旋階段になっていて、そちらに行けば住居があるはず。


一階の中央には噴水やテーブルがあり、さながら高級ホテルのような光景だ。


そして、そこに俺達の目的の人物が待っていた。


「あら〜アレク君にセレナじゃない」


「お母様、ただいま帰りましたわ」


「サラ様、お久しぶりです」


「ふふ、ほんとよ〜」


このほんわかとした清楚系美人が、第一王妃のサラ様だ。

セレナと同様に黄金に輝く髪、整った顔、そして……うん、素晴らしいお胸です。

見た目も若々しく、とても二人の娘を産んだとは思えない。

まあ、まだ三十五歳だから当然なんだけど。

……前世の俺より年下じゃんか! そりゃ若く見えるよ! むしろどストライクだよ!


「ちょっと? なに、お母様を見てデレデレしてるのよ?」


「はぁ? し、してないし」


「してたわよ! むぅ……私にはデレデレしないのに」


「当たり前だが?」


「どういう意味よ!」


「ちょっ!? やめろって!」


そもそもセレナとサラ様では、包容力がまるで違う。

見た目は近いかもしれないが、その圧倒的包容力の前にはどうにもならない。

おっぱいが大きければ、包容力があるというわけではないのだ(キリッ)

……まあ、セレナもいずれこうなるかと思ったらアレだけど。


「あら〜相変わらず仲が良いわねぇ」


「そ、そう?」


「そうですかね?」


「ええ、そうよ〜。本当に、久々に見れて嬉しいわ。昔は、よくアイカさんと眺めていたもの。あのまま、過ごして……貴方が息子になるのを楽しみにしてたんだけど」


うん……そうだったよね。

こうして、この場所で……二人が見守る中、遊んだ記憶がある。

もう、十年くらい前の話だけど。


「あぁー……その件でお話があります。婚約解消の件、申し訳ありませんでした。俺の不徳の致すところです」


「陛下から聞いているから平気よ〜。それに、今となっては仕方ない部分もあるから。セレナちゃん、残念だったわね?」


「な、なんの話?」


「またまた〜アレク君のお嫁」


「だ、だめぇぇぇ!」


「きゃ!? いきなり抱きついたら危ないわよ〜」


「も、もう! お母様が変なこと言うからです!」


親子でイチャイチャしとる……うむ、眼福である。

おっぱい同士が当たって、グニャングニャンと形を変えている。

あっ、ダメだ……目線が完全にエロいおじさんになってるわ。


「コホン! それで、申し訳ないのですが……セレナをうちに呼んでも良いでしょうか? その、マリアが寂しがっているので」


「ああ、そういうことなのね〜。ええ、構わないわ。そのために、きてくれたの? アレク君、わざわざありがとね」


「いえ、そこはきちんとするべきですから。それに……俺も会っておきたかったので」


「まあ〜! 嬉しいわっ!」


「ふがっ!?」


思ったよりも軽快な動きで、いきなり抱きしめられた!

ま、まずい! 顔におっぱいが埋まっている! ……違う!逆だっ!


「お、お母様!? 何してるのよ!」


「何って、昔みたいに抱きしめてるんだけど……? もう、こんなに大きくなって……」


違うところが大きく……俺はアホかっ!

出て行け! 前世の俺! 今の俺にとっては倍以上の年齢なんです!


「むぅ……デレデレしてる」


「しとらんわっ! あの、俺も年頃なので……」


「あらら〜ごめんなさい……ということは、セレナちゃん」


「な、なに?」


「まだまだ、チャンスがあるってことじゃない。ふふ、よかったわねー?」


「し、知らないもんっ!」


そう言い、再び親子でじゃれつく。


俺はその間に、荒ぶりそうになる息子を制御するのだった。


……いやぁ、若いって大変だなぁ。

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