ボン・ボヤージュ！

そこに一人の男が声をかけてきた。

ちょいとそこの旅人さん少し歌を聴いておくれ損はさせない

極彩の全国巡るお歌です一年通し見所だらけ

春は良い。強き春風花吹雪青い空とのコントラストに

思いはせると花香り漂うも花見の出店花より団子

アツアツの唐揚げ棒に食らいつく欲しくなるのは桜の塩味

夏も良い。瓶サイダーを一気飲みカラコロ鳴るはビー玉の音

蒸し暑く吹き出す汗に不快感小麦の肌でぬぐったあの日

風鈴の音がチリンと縁側でスイカを食べるはノスタルジー

秋も良い。涼やかな風吹く紅葉（もみじ）パッと手に取り手合わせ願う

足鳴らすカサカサの道真っ黄色イチョウ絨毯ぎんなんも有り

新たなる祭りが誕生ハロウィン乱痴気騒ぎ若きが哮（たけ）る

冬もいい。突き刺す寒さ白い息、頬を包むは赤い手袋

轟々と吹きすさぶ風（かぜ）雪（ゆき）混じりホワイトアウト私迷い子

風止み見渡す限り純白の雪景色を駆け回ってみたい

四季は良い。春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて

現代の四季折々も見れたもの千代に八千代に続いてほしい

四色（よんしょく）の春夏秋冬（しゅんかしゅうとう）纏うのは愛しき祖国（そこく）愛する日本（にほん）

ほらどうだ旅してみたくなったろう？少しサービス目を閉じてみろ

君はその言葉通りに目を閉じる。一番見たい景色が映り

驚き目を開けた無人駅には詠み人おらず詠み人知らず