叶わぬ恋に恋をして

細蟹姫

叶わぬ恋に恋をして


 フワリ舞う心に君が入り込む そよぐ春風 桜色の頬



 友達と騒いでる時目が合って 灰の空には七色の虹


 窓に映るキミの横顔眺めながら頬張る菓子パン 胸やけ起こす


 変化する空模様すら愛おしい 振り回される心模様


 星空と君に絆される帰り道 電柱ぶつかりふと我返る


 分岐点 振り返る事なく進むキミ 見送る背中無くとも佇む



 届くこと無い満月に背を向けて 両手で掬うは田毎たごとの月



 祝福と鳴りやまない鐘の音に 見上げた空に虹はかからず


 まやかしに気づけばそこは生き地獄 どうか私を騙し続けて


 何気ない仕草口癖重ねる嘘 時過ぎる程冷める情愛


 ありふれた幸せの味は幻か いくら噛めどもガムに味無し



 再会に胸が高鳴り恋をする ぼんやり灯る交差点の赤


 隙間風吹いた心が埋まってく 無邪気な笑いに左手隠して


 求めるまま 口づけ裂いたイチジクは狂おしいほど私欲を満たす


 煮詰め過ぎの苦い焦がしカラメルが触れ 焼いた皮膚は今尚いまなお甘し


 恋い慕う 伴う痛みも心地よく 飛散ガラスを踏みしめて



 鴛鴦の契りえんおうのちぎり 破れて晴れた空 虹かからずとも 飛べる気がした



 キミの真似 タバコの煙せき込んで 苦いコーヒー飲み干せずいる


 木漏れ日に寄り添い歩く影二つ 幸せ映した白昼夢


 本当のところは誰も愛せずに 叶わぬ恋に恋をしている

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