我が儘で人使いが荒い
重苦しい空気に包まれつつ、わたしたちは更に進んでいった。
およそ三十分ほど経っただろうか。
最初の縦穴から距離にすると推定で1kmほどだと思われるが、ついに地下通路の終点に到達した。
「終点というか、塞がれているなこれは」
バルタザールがさっそく眼球が発光するほどの魔力視で目の前に立ち塞がる壁を観察し始めた。
「やはり魔力痕があります。封印魔術に術式が似ていますが、これは……」
ぶつくさ言いながら通路を塞ぐ壁を舐め回すように調べているバルタザールへ声をかける。
「そういえばブリュンヒルデの特技は術式破壊じゃなかったか? 一度ここを出て引っ張ってくるか」
「姫様。ブリュンヒルデは確かに術式破壊の名手ですが、これを壊すのは不可能だと思いますよ」
「何故だ?」
「簡単に壊されるようじゃ封印の用をなさないでしょう」
当たり前のことを言わせるなとばかりのバルタザールの言葉にアルフォンス伯父が呆れたように同意した。
「確かにそうだ」
「……無知で悪かったな。ではこちらの道もこれ以上は進めないということか」
まさか収穫もなければ罠もないとは思わなかった。
しかしこれでは空気の流れの説明がつかないな。
もしやわたしたちが地下通路を歩いている最中に道を塞いだのか?
いずれにせよ当てが外れてやや拍子抜けしたわたしは周囲を見回した。
薄暗く狭い通路。
通路を塞ぐ封印壁に張り付いたバルタザール。
禿げ頭が汗で濡れた伯父上。
そして横壁に空いた亀裂に体を押し込もうとしているベルント……いや、何をしている?
「ベルント?」
「エレオノーラ。この奥に入れそうだ」
と言いながらぐいぐいと亀裂の奥に入り込んでいく。
「お、おい。気を付けろ」
「大丈夫、もう少しで抜けられそうだ……あっ」
スポンッと音がしそうな勢いでベルントの体が亀裂の向こうへ消えた。
取り残されたわたしたち三人は何とも言えない表情で視線を交わし合った。
「伯父上、あの隙間を抜けられますか?」
「いや……無理だろうな」
歴戦の騎士である伯父上の体は鎧のように分厚い筋肉で覆われている。
まだ若く体の細いベルントなら大丈夫でも、さすがに伯父上はどう見ても無理だ。
しかし、わたしたちがぐずぐずしている間も亀裂の向こうからベルントが早く来いと促してくる。
「伯父上はここでお待ちを。わたしが行って様子を……」
話しながら亀裂に体を押し込もうとしたわたしは途中で動きを止めた。
「エレオノーラ?」
亀裂のあちら側とこちら側、双方から声が掛かったが、わたしはそれに答えることなく無言で亀裂から体を抜き取って元の場所まで戻った。
「……お前も引っ掛かってしまったか」
いたたまれない口調で伯父上が言った。
何故だ。
ベルントよりわたしのほうがずっと体は小さいはずなのに。
「おい、バルタザール。壁を壊せ」
「はい?」
「壁をぶち壊してあのクソッタレな亀裂を大きく広げろと言っているんだ」
無理に体を押し込もうとして擦り剥いてしまった尻を押さえて、わたしは吐き捨てた。
「エレオノーラ、何という汚い言葉を!」
「伯父上は黙って。バルタザール、さっさとしろ。地下通路そのものを崩落させるなよ」
わたしに軽くあしらわれてアルフォンス伯父がちょっとショックを受けた顔をしていたが、今は淑女にとってふさわしい言葉の講義をしている場合じゃないのだ。
「承知しました。しかし少々音がしますよ」
「今さら構わん。伯父上もよろしいですか?」
「……あまりやりたくはないが致し方あるまい。できるだけ静かにな、バルタザール」
「無茶を仰いますな」
ベルントに警告して後ろへ下がらせ、バルタザールは魔法を炸裂させた。
けたたましい轟音と共に亀裂の大きさが二倍ほどに広がった。
さすがはバルタザール。力加減は完璧だ。
さっそく広がった亀裂を潜って壁の向こう側へ移動すると、ベルントが呆れ果てた表情でわたしたちを待っていた。
「お前……」
「壁のこちら側は様相が違うな」
無駄に出っ張った尻や胸へのぶしつけな視線をベルントから感じるが、寛大なわたしはそれを無視して周囲を見回した。
先ほどまでいた通路は不揃いな石を積んで壁を固めてあるだけの簡素な造りだったが、こちらは均一な大きさの石材を用いて壁も床も整備されており、奥には重厚な両開きの扉もあった。
「……大聖堂の地下か?」
「どうでしょう。距離的に大聖堂付近であることは間違いないと思われますが」
アルフォンス伯父に呟きに憶測で答える。
先程まで通ってきた地下通路にせよこの空間にせよ、造るには莫大な資金と年月が必要だ。
もしこれらの空間が教会に繋がっているのなら、糾弾する材料の一つにはなるか。
「奥の扉の向こうから気配がします」
バルタザールが珍しく緊迫した声音で警告した。
全員が武器の柄に手をかける。
「気配とは?」
「何かがいます。臭いがここまで漂ってきています」
「何かというのはお前が最初に言っていた存在か?」
問いかけに頷くバルタザール。
「確かに腐臭が濃いな。確かめよう」
先頭に立って進もうとすると、わたしを押しのけてアルフォンス伯父が前に進み出た。
「伯父上」
「押し問答はなしだ、エレオノーラ。わしの後ろにおれ」
「わたしはもう幼い子どもではありませんよ」
「知っておる」
抗議するわたしを伯父上は断固たる口調で黙らせ、ゆっくりと扉を開いた。
足を踏み入れた先は、おおよそ20m四方はある大きな空間だった。
壁面や柱には精緻な彫刻が施されており、この場所が何らかの儀礼的な意味を持つことをうかがわせた。
中央部には祭壇があり、一人の中年男が背をもたせかけて腰を下ろしていた。
「やあ」
片手を上げて気安い挨拶をする男から少し離れた場所で立ち止まり、わたしたちは油断なく剣を構えた。
男は白銀に輝く甲冑と赤いマントを身に着けている。
同じ甲冑を身に着けている者をここ最近帝都でもよく姿を見る。ここからでは見えないが、赤いマントには間違いなく聖印騎士団の紋章が刺繍されているはずだ。
「やれやれ、本当にやってくるとは。勇者殿も酷なことだ……」
意味深な呟きと共に男は立ち上がり、改めてわたしたちの顔を一人ずつ観察した。
「近衛騎士団副団長アルフォンス卿と精霊の姫巫女エレオノーラ殿。後の二人は知らないが、まあ近衛騎士団の関係者かな」
男は喋りながらマントを外して祭壇の上に放り投げた。
「わたしの名はザムエルという。お初にお目にかかる」
「はじめまして、ザムエル。ここで何をしている?」
単刀直入に問い質すと、ザムエルは皮肉げに唇を歪ませてゆっくりと腰の剣を抜いた。
「これから死にゆく者に答えても仕方あるまい」
「訊いても無駄というわけか。ならば貴様を殺してからゆっくり調べさせてもらう」
明確な敵意を前に即襲い掛かろうとしたわたしをバルタザールの鋭い一声が押し留めた。
「姫様!」
「ふっ、勘のいい……」
ザムエルが剣を垂直に掲げると、祭壇の影から異形の怪物どもが姿を現した。
骨だけの体に鎧を纏い、剣や槍を携えている。
暗い眼窩の奥に宿る怪しげな光でわたしたちを捉え、スケルトンたちは一斉に襲い掛かってきた。
「こいつ、死霊術士か!」
「いかにも」
十体、二十体と湧き出してくるアンデッドに飲み込まれぬよう退きながら剣を振る。
スケルトンは単体としては取るに足らない存在だ。
しかし潰しても潰しても祭壇の影から新たなスケルトンが出現してくる。
いわゆる『無限湧き』は極めてよくない状況だ。
この世界はゲームではない。
わたしたちは有限の体力しか持たない生き物なのだから。
「あの祭壇が媒介だ! わしが破壊する!」
伯父上が剣を鞘に納め、もう一つの得物を抜いて頭上で振り回し始めた。
武芸百般に通じる伯父上はおよそこの世に存在する武器ならば何でも扱うことができるが、もっとも得意としているのはけた外れの膂力を生かしたフレイルである。
鎖で繋がれた棘付き鉄球が唸りを上げて振り回される様は見ているだけで寒気がするが、味方であればこれほど頼もしいものはない。
「バルタザール、薙ぎ払え!」
伯父上の道を開くため、わたしは魔法使いに命じた。
即座に命令に応えたバルタザールは、魔法杖の先から紅蓮の炎を現出させてスケルトンの群れに向かって解き放った。
まともに炎を食らった最前列のスケルトンは凄まじい高温に炙られて粉々になり、その後ろにひしめく者たちも熱風によって大きく吹き飛ばされた。
そこへすかさず伯父上が突貫し、恐ろしい鉄球を渾身の力で祭壇へ打ち下ろした。
大理石でできた祭壇は見事に破壊され、それと同時に新たなスケルトンも召喚されなくなった。
事態は好転するかに思われたが、バルタザールの魔法から逃れて後方へ退いていたザムエルは自身の周囲を三体のアンデッドに固めさせて余裕の表情を浮かべていた。
「お見事だ、アルフォンス卿。だが、少し遅かったな」
皮肉げな表情を浮かべて拍手で伯父上を称えるザムエル。
周りに侍る三体のアンデッドは明らかにこれまでのスケルトンとは様子が違う。
揃いの上等な甲冑とマントを身に着け、武器として長剣やメイス、魔法杖を装備している。
魔法行使できるアンデッドは相当な上位存在だが、もしや長剣やメイスの個体もスキルを使ってくるのだろうか。
骨だけの体なのは変わらないが、佇まいは生者であった頃の面影を色濃く残している。
闇が凝縮したかのように燃え盛る眼窩の光に宿るのは暗い憎悪。
「ナイトリッチ……」
「詳しいな、姫巫女。ダンジョン通いが趣味かね?」
「あんな汚らしい場所へ誰が好き好んでいくものか」
数多くの探索者の命を吸った古代ダンジョンの中には凶悪な自我を保つリッチが支配する領域があると聞く。
ザムエルの召喚した三体がどの程度の実力か分からんが、一山いくらのスケルトンとは次元が違うと考えた方がいいだろう。
「ふっ、まあいい。第2ラウンドと行こうじゃないか」
ザムエルの宣言と同時に、ナイトリッチたちが我々の心胆を寒からしめる咆哮を一斉に上げた。
「来るぞ!」
アンデッドらしからぬ鋭い踏み込みで前方へ躍り出たのは魔法杖を持つ個体だ。
わたしたちに向けられた魔法杖の先端に光が凝集し、一気に解き放たれた。
回避する間もなく凄まじい熱と爆風を伴って凝縮された光が破裂する。
とっさの防御でかろうじて顔を守るが、後方の壁まで吹き飛ばされて叩きつけられた。
地下通路に降りた際にバルタザールの守護魔法をかけてもらってなければ全身が粉々になっていたかもしれん。
くそ、素晴らしい爆裂魔法だ。
こんな地下空間で使いやがって。
脳が腐っているんじゃないのか。
めまいのする頭を振り、周囲に呼び掛ける。
「皆無事か?」
「何とか」
「わしは大丈夫だ」
ベルントとアルフォンス伯父の二人も吹き飛ばされただけでさしたる怪我は負ってないようだ。
バルタザールの返事がないので周囲を見回すと、わたしのすぐ足元にうつ伏せになって倒れていた。
「おい、バルタザール。寝るな」
「……ぐ、おえっ」
「えずいてないでもう一度守護魔法だ」
ローブを引っ張り上げてバルタザールを起こさせると、我が不良従士はいささか焦点の合ってない眼差しのまま魔法杖を振りかざしてぼやいた。
「姫様の人使いが荒い……」
「分かり切っていることを言うな、馬鹿者」
お前がわたしのものである限り一蓮托生だ。
無理でも無茶でも我が儘で人使いの荒いわたしに付き合ってもらうからな。
魔法杖の石突が床を打つと同時に守護が再び肉体を包み込む。
そうしている間にも敵は次の魔法発動を終えたらしく、人を丸呑みにできるほど巨大な火球が四つ、こちらへ向けて放たれたところだった。
このまま距離を置いて『魔法使い』の遠距離火力で圧殺するつもりか。
だが、遠距離火力ならこちらも負けてはいないぞ?
「姫様、少し涼しくなりますよ?」
「よい、やれ」
許可を与えると同時にバルタザールの杖から巨大な氷塊が四つ放たれ、こちらに迫る四つの火球を正確に撃ち落とした。
「『魔法使い』はバルタザールが相手をせよ。わしがザムエルをやる」
アルフォンス伯父の指示にわたしも続ける。
「承知しました。ではわたしが『剣士』を。ベルントは『メイサー』だ」
「了解」
互いの魔法使いを後方に置き、戦士たちが各々得物を構えて前に進み出る。
臨戦態勢が近づくにつれはっきりと分かるが、このナイトリッチどもは極めて強力だ。
たとえ熟練の死霊術士であってもこれほどのアンデッドを喚び出すには相応の対価を支払わねばならないはず。
……腐臭。血の匂い。
「外道が」
一足一刀の間合いで互いに剣を構えて『剣士』と向かい合う。
錆一つ浮いていない白刃。拵えを見るに相当な業物だ。
甲冑も剣同様に磨き上げられて輝いているが、様式自体はかなり古い。おそらく数百年前の騎士たちが身に着けていたもの。
肩当の部分に彫り込まれている紋章に何となく既視感があるのだが、どこで見たものだったか思い出せない。
生前は高名な騎士だったのだろうか。
リッチとなってまで晴らさねばならない無念があるのだろうか。
あるいはザムエルの死霊術によって強制的に縛られているのか。
「我が名はエレオノーラ。喋れるなら貴殿の名を聞こう」
呼びかけに対する応えはない。
生前の知性を保持するリッチとはいえ能力には個体差がある。
「……参る」
全力の踏み込みから繰り出した打ち下ろしを水平に寝かせた刃で完璧に受け止められる。
骨だけの体でこれだけの膂力をどうやって出しているのか。
鍔ぜり合っても埒が明かぬと判断し、肘を引いて左足を半歩踏み込み。
神速の左胴薙ぎをまたしても受け止められ、逆に弾き返される。
体勢が崩れたところを左袈裟斬りが襲い掛かってくる。
刃を上手く当てて相手の勢いを逸らし、返す刃で相手の肘を狙ったが、素早く片手を離した『剣士』がわたしの剣の柄を握り締めて押さえ込んだ。
「ぐっ……」
相手は左手が塞がり、そして自由な右手に剣を握っている。
自身の側面で『剣士』が剣を振りかぶるのが見えた。
このままわたしの首を落とすつもりだ。
「クソが!」
全身から闘気を噴き出させたわたしは、身を屈ませながらこちらの剣を押さえる相手の手を渾身の力で巻き取って、体を入れ替えながら投げ飛ばした。
荒れた呼吸を整えながら間合いを取る。
背中から床に叩きつけられた『剣士』は、うめき声一つ上げることなくゆらりと立ち上がって再び剣を構えた。
額の上のほうから生暖かい液体が垂れ落ちてくる。
乱雑に拭った手の甲が真っ赤に染まったのを見て、わたしは舌打ちを一つした。
間一髪だった。
他の皆は無事だろうか。
注意を向けると、各々激しい戦いを繰り広げているようだった。
バルタザールはほぼ互角。
伯父上はやや優勢のようだが、ザムエルの巧みな剣技に攻めあぐねているよう見受けられる。
そして、ベルントはかなり苦戦していた。
『剣士』と『メイサー』の実力が同等だとしたら、ベルントが苦戦するのも当然の話だ。
時折バルタザールが援護してくれているとはいえ、あの調子ではいくらも持たない。
「……正念場だな」
大上段に構えて呼吸を整える。
相手は細い骨の身で構成された体ゆえ、突き技は効果が薄い。
「斬る」
宣言と同時にわたしの剣が炎を纏う。
意識を集中させると赤い炎はやがて青白く集束して鋭い刃と化した。
「火塵剣」
わたしの必殺剣を目の当たりにして、『剣士』が少し笑ったように見えた。
彼は見惚れるような美しい正眼の構えを取ると、初めて言葉を発した。
「『清流剣』」
やっぱり喋れるんじゃないか、この根暗野郎。
当たり前のようにスキル発動しやがって。
内心毒づくわたしをよそに、『剣士』はどこかくぐもった低い声で最初の問いかけに答えた。
「吾輩の名はマインラートだ。……いや、だったと言うべきか」
マインラート。マインラートか……。
肩当の紋章が何なのかようやく思い出したぞ。
あれは四百年前に存在した天陽騎士団のものだ。聖印騎士団とはまた別の教会直属の騎士団で、今はもう廃絶されている。
そして天陽騎士団のマインラートといえば一人しかいない。
現代においてもなお最強の騎士の一人として語り継がれる剣聖マインラート。
……何でこんなところでアンデッドやってるんだよ。
「若き騎士よ。勝負である」
剣聖の誘いに軽く頷きを返したわたしは一度軽く息を吸い込んでから、一気に踏み出した。
交錯は一瞬。
わたしの袈裟斬りが受け止められ、次いで剣聖の脚を払う一閃を受け止める。
そして三合目。
打ち下ろすわたしの剣と、掬い上げる剣聖の剣。
わずかな差で速度に勝ったのはわたしの剣だった。
脳天から股まで唐竹割りに断ち斬られた剣聖は、静かに体の正面で剣を垂直に立てると塵となって消え去った。
骸骨となった顔に最後に浮かんでいた表情が微笑みだったように見えたのは、わたしの勘違いだろうか。
「じゃあな、剣聖マインラート」
生前のあんたが敵でなくてよかったよ。
骸骨になってさえこの強さだからな。
敵との別れを惜しむ間もなく、わたしは愛剣をハンドスナップで回しながらベルントの元へ急いだ。
恐ろしげなメイスがベルントの脳天に振り下ろされるまさにその寸前、わたしは全力疾走の勢いを乗せた破れかぶれの飛び蹴りを『メイサー』にブチかました。
受け身を取り損なって床に背中を打ち付け悶絶するわたしに、ベルントが仰天したように呼びかけた。
「エレオノーラ!」
「勝手に殺されかけてるんじゃない、ベルント。それでもわたしの部下か!」
首をもたげて見ると、『メイサー』はわたしの蹴りで腰骨が外れて上下二つに分かれていた。
いい様だ、骨め。
「ベルント、さっさとわたしを起こせ」
「はいはい、お姫様」
「誰がお姫様だ、馬鹿者」
軽口を返すベルントに手を引っ張ってもらい、わたしは勢いよく立ち上がった。
上半身と下半身に分かれたまま虫みたいにもぞもぞ動いている『メイサー』にとどめを刺す。
剣聖同様に塵となって消えたのを確認し、今度は伯父上の元へ加勢に向かう。
バルタザールは放っておいて大丈夫なはずだ。
というより魔法使い同士の戦いに剣を振り回して割り込んでも丸焦げになるのがオチだしな。
まあ、魔法斬りもやろうとすればできなくはないと思うが……。
ちらりとバルタザールのほうへ視線を送るが、向こうからしっしっと追い払うような手振りを見せられる。
よし、放っておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます