第5話 鶏の生死、山狩りの準備
「こんなに泥だらけになって!?感染症はほんと怖いんですよ?!!頭打ったばかりで何やってるんですかぁ!!!」
「ゴメンナサイ」
学校のすぐ横のそこそこきれいな用水路、そこで水浴びをして、鶏に蹴られて引っかき傷が多くて怒られている。半裸でお腹の傷を美人なヒーラーみんなのアイドル竹内先生に触れられる。
約得と思うし説教も心配から来てると思えば可愛く見える。
「何笑ってるんですか!」
「あ、その、鶏連れて帰れてよかったです」
「それは、確かに雄鶏ですが雌鳥がいれば増やすことも出来ますし素晴らしい収穫ですね……じゃないっ!頭打った後に勝手に何処か行って!立入禁止の裏山行って何してるんですか!!?」
きっと先生は人を怒り慣れていない。なんというか敵意をぶつけたり蔑んだ目で「きもっ……」て言うような女の子がいるがそう言うんじゃなくてぷりぷりして私怒ってますって感じで可愛い、とても可愛い。
「聞いてるんですか!?」
「はい」
「ぷりぷり怒ってるせんせ、かわいい!」なんて言いたくなるが流石にそれを言ってはダメだろう。
山に入ったのには理由がある。
「あーっと……うちの山とここの裏山繋がってて、来たことあるんですよ」
「もうっ!とにかく寝ててください!!」
プンプン怒って先生はいってしまった。怒られたけど内内心かなり和んでしまった。
たしかにここの裏山は危ない、ヤブの先がいきなり崖になってる場所もあるしとても危険だ。高低差もあって滑りやすいし滑落事故もあったと子供の頃に聞いたことがある。
じいちゃんが山に住んでてその繋がりで山にイノシシよけのフェンスを張るのを手伝う際にこの高校を知った。地元好きだし大学もこの近所、通っていた高校はここではなかったが。
だから自分としてはちょっと裏山へいくような気分だった。
山歩きしたことのない高校生たちは立入禁止のルールも守っているし、僕が来る前には怪我人が出たとかで誰も入らないように言っていたのだと。
「大丈夫っスか?」
保健室にいると小野田くんが来る、二度目だがなにかのデジャブである。
聞きたいこともあるしちょうど良かった。
「おぉ、小野田くん鶏は?」
「多分無事です」
「多分?」
「男子で肉にしようって話が出てまして……」
「あー……なるほど、肉にしたなら一番うまいところを頼む」
さもありなん、この避難所は食料は大分余裕はあるがやはり切り詰めているし、食べざかりの高校生がほとんど、スーパーの肉なんて一週間もすれば食べにくくなってしまうし貴重だ。
だが獲ってきたのは自分だ。罠を作って命がけであった……避難所で生活している以上「肉全部よこせ!」とは言わないでもちょっといい部位を要求するぐらいは許されるだろう。
「いやいや、多分大丈夫ですって!今は他の鶏捕まえに行こうぜって裏山に行こうとしています」
それは不味い、さっきまでもも肉のステーキのイメージして涎が出そうだったけどそれはまずすぎる。
「あー……じゃあ行くよ。ここの山は来たことがあるけど案内がないと確実に何人か死ぬし」
山に慣れていない高校生なら遭難するか滑落で何人か大怪我か普通に死んじゃう。今は警察も消防も、山岳救助のプロもいない。
下手したら誰も助けられない場所で怪我して餓死だ。流石にそれは見過ごせない。
「え?そんなに危ないんスか?」
「高低差があるし迷子になりやすい、地元の人間でも入らない危ない山だよ」
自分だって完璧ではないが山に詳しい人だってここの裏山は危ないと言っていた。高低差もあるし、前が見えにくいし、歩きにくい、最悪なのが藪の先が崖ということがある危険な山である。
自分だって普段だったら入ることはない。ちょっと作ったら出来た罠を試してみたかったのだ。
「でも良いんですか?先生きっと怒りますよ?」
「あー、人命救助人命救助、僕行かなきゃ多分何人か減っちゃうし」
竹内先生のプンプン怒る姿をちょっと楽しみにしながらこっそり保健室を出る。
行ってみると普段人の少ない掘っ建て小屋の近くに大人と高校生が大人数で行こうとしていた、50人はいるだろうか?
…………………アカーンっ!!?
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