耐えるライティ

 ライティは地面に着地するとジョルジュ大木に向かって行った。そして倒れそうになっている木を抱えて支えた。ギシギシとワイヤーがきしむ音が聞こえ。それを引っ張っていたメカニカが逆に引っ張られていた。木の傾きは完全に止まった。


「ありがたい!」

「神の使いだ!」


 ブブカ族の者たちは手を合わせた。だがそれをヨードル社長はそれを苦々しく見ていた。とんだ邪魔が入ったと・・・。イラついた彼は大声で叫んだ。


「何をしているんだ! もっと引っ張れ! パワーをぎりぎりまで上げるんだ!」


 メカニカは火を噴くほどパワーを上げた。だがライティも力をさらに籠めた。傾いた木が徐々に元に戻ろうとしていた。ヨードル社長はさらに叫んだ。


「こうなったらあの巨人を攻撃しろ! 手を放させるんだ!」


 するとメカニカから大砲の筒が出てきた。ブブカ族を追い払うためにこれらのメカニカは武器を積み込んでいたのだ。それがライティを狙っている。


「撃て! どんどん撃て!」


 ヨードル社長が指示すると、メカニカは「ズドーン!」と大砲を打ち出した。それはライティの背中に当たり、次々に「ドカーン!」と爆発していた。


「グワッ!」


 ライティは苦しげな声を上げた。それでも木を放そうとしない。背中に砲弾を受けながら必死に木を立て直そうとしていたのだ。


「ライティ!」


 キャラバン隊の術者も運び屋も思わず声を上げた。ライティは身を挺してでもこの木を守ろうとしている。ブブカ族のために・・・。彼らはこのライティの危機に何もしないわけにはいかなかった。それはジャック隊長も同じだった。彼は決断した。


「メカニカを攻撃しろ! ライティを助けるんだ!」

「しかしそれでは・・・」


 ルマンダは後のことを心配していた。だがジャック隊長の決意は揺るがなかった。


「こんな非道な真似を許すわけにはいかない。それをライティが教えてくれた。ユーラス王国の態度がどうなろうと俺は正しいと信じる道を行く。そう思う者は続け!」


 ジャック隊長はメカニカに向かって行き、ナイトブレードを放った。その威力で一台のメカニカがひっくり返った。乗組員が慌てて逃げて行く。


「隊長ずるいぜ!」

「そうよ。私たちも暴れてやる!」


 トロイカもナイトブレードで攻撃していき、リーナはサンダーでメカニカの回路をショートさせて行動不能にしていった。


「私も戦います!」

「俺も我慢ならねえ!」

「俺も行くぜ!」

「私も正義のために!」


 メレは矢を放ち、ダルレは槍を投げた。テームズは細剣のファーストランジでメカニカを穴だらけにしていった。ジュールはホーリーナイトでその辺りのメカニカを光で包んで破壊していった。

 妨害のなくなったライティは心置きなく力を発揮した。木の傾きは直りつつある。やがて「バシッ! バシッ! バシッ!」とワイヤーが次々に切れた。勢い余ったメカニカはぶつかって火を上げていた。


「やった!」


 ブブカ族の者たちが声を上げた。ライティによって木が元の状態に戻ったのだ。

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