苦戦するライティ
ソミオは人目につかないように建物の陰に入った。そして右手で首飾りを引きちぎるとそれを上に掲げた。
「ライティ!」
するとソミオの姿は光に包まれて消え、宿営地の上空が輝き、ライティを出現させた。
モリードは頭上に現れたライティに目を見開いて驚いていた。彼を震えながら指さして、思わずこうつぶやいていた。
「あのようなものがこの世に存在するとは!」
モリードはライティの存在が信じられなかったのである。そんなものは今まで見たことも聞いたこともない・・・。そばにいるジャック隊長が言った。
「彼はライティ。危機に陥った我々を救ってくれるのです。何者か、どこから来たのかははっきりしませんが」
モリードはその言葉を聞きながらじっとライティを見ていた。
ライティは日の光を反射しながら空中で回転して地上に降りた。それを見てヘルゾンビはライティの方に向かってきた。両者が激突して組み合う。
「クエッ! クエッ!」
ヘルゾンビは奇声を発して力で押すがライティも負けていない。そして体をひねるとヘルゾンビを投げ飛ばした。
「ゴーン!」
大きな音がして砂塵が舞う。倒れたヘルゾンビをその上からライティはチョップで攻撃を加えていった。大きなダメージを与えたはずだが、ヘルゾンビは平気の様だった。そしてヘルゾンビは足でライティを下から蹴り上げて跳ね飛ばした。
ヘルゾンビは不気味に笑いながら立ち上がった。ライティも起き上がって態勢を整えた。このままではらちが明かないと見て、必殺技を食らわそうと額にエネルギーをためた。ヘルゾンビはまるでそれを待ち構えているかのように、ただライティの前に立っているだけだった。
「クラッシュストライク!」
額から出た光線は確かにヘルゾンビを貫いた。しかしヘルゾンビは何事もなかったかのように体に開いた穴を閉じた。
ライティは信じられなかった。あの必殺技が効かないとは・・・。だがヘルゾンビを倒さねばならない。今度は右手を上に突き出した。
「エネルギーソード!」
するとその右手に周囲からエネルギーが集まり輝く光の剣となった。それを構えるとライティはヘルゾンビに向かっていき、すれ違いざまに「ズバッ! ズバッ! ズバッ!」と何度も斬り裂いた。そして通りすぎた後、さっと体ごと振り向いた。
ヘルゾンビは頭、両腕、体、両下肢、それぞれがバラバラになって地面に転がった。もう動く様子はない。ライティはようやく倒したと思って、空に顔を向けて飛び去ろうとした。
だがその前にヘルゾンビの頭が急に飛び上がり、ライティの首にかみついた。
「フウワッ!」
ライティは叫び声を上げた。そしてヘルゾンビの両手も飛んできて、ライティの手を捕まえていた。それでもうヘルゾンビの頭を首から離すことができなくなった。その口はますます首に食い込み、ライティは片膝をついて苦しんでいた。そのダメージで額の炎も揺らいできた。このままではライティは消滅してしまう・・・。
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