第5章108話:到達点と報酬
そして。
階段を昇り終える。
そこは……私が予想したとおり。
ラティーバル山の頂上だった。
何もない円形の広場状になった、山の頂上。
天には夕焼けに染まった空が広がっている。
後ろを振り返る。
すぐそこは崖になっており、眼下に島の景色が広がっている。
「すごい綺麗……」
絶景である。
ようやく本当に、島を完全攻略したのだと、実感が沸いてくる。
私は感動のままに、ふたたび正面を向く。
正面にはただ一つ、宝箱が置かれていた。
豪奢な宝箱だ。
私はその宝箱に近づく。
(何が入っているんだろう?)
宝箱を開けてみる。
鍵などはかかっておらず、普通に開いた。
入っていたのは三つ。
一つは手紙。
一つはスキル石。
一つは地図。
私はまず、手紙を読んでみた。
内容は以下である。
『女神です』
『島の攻略、おめでとうございます』
『報酬は、スキル石です』
『魔法の船を製作できるクラフトスキルが手に入ります』
『船を製作すれば、島を出ることができるでしょう』
『島周辺の簡易的な地図を、宝箱に同梱しておきましたので、ご確認ください』
『島を出て、世界を見て回るも良し』
『島にとどまって、静かな暮らしを続けるも良し』
『あなたのご自由に、人生をお過ごしください』
なるほど。
このスキル石……船を作れるようになるのか。
「ありがとうございます、女神さま」
と静かに感謝の気持ちを口にする。
とりあえず手紙と地図はアイテムボックスにしまう。
スキル石はさっそく使うことにした。
結果。
以下の能力を獲得することに成功する。
◆◆◆
【クラフト:魔法船】
魔力で補強された船を製作することができるようになる。
素材などは不要。
【拠点転移】
自分が拠点と定めた場所へ転移することができる。
◆◆◆
なるほど。
魔力で補強された船かぁ……。
まあ、海を渡るとなると、海の魔物に襲撃されても耐えられる船じゃないとダメだもんね。
おそらくこの【魔法船】というのは、それが可能な船なのだろう。
そして【拠点転移】とは、ファストトラベルの能力。
島の外に出ても、いつでも島へ帰ってこられる転移能力ということだろう。
「……」
ふいに空を見上げる。
この異世界には、まだまだ未知があふれている。
見知らぬ大陸があるだろう。
見知らぬ景色があるだろう。
冒険しようと思えば、いくらでも出来るはずだ。
島を出るか。
島に留まるか。
これからゆっくり考えることにしよう。
なにしろ私には、無限に時間があるのだから。
――――完
―――――――――――――――――
お知らせ:
本作はここで完結です!
無事に完結することができて、ホッとしています。
お読みいただき、ありがとうございました!
異世界転生で無人島をもらった私。島でのんびり暮らしたり、時々、旅に出たりします てるゆーぬ@キャンピングカー作品書籍化! @teru0024a
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