第1章24話:ピアノを演奏してみる
昼。
昼食を食べたあと、さっそくピアノを弾いてみることにした。
壁際のアップライトピアノ。
その手前にピアノ椅子をクラフトし、設置する。
とりあえず、基本の運指を確認。
ド、
レ、
ミ、
ファ、
ソ、
ラ、
シ、
ド。
鍵盤の上で音が弾ける。
指は問題なく動く。
ピアノの音も、伸びやかで綺麗だ。
次にアルペジオを弾いてみる。
これはピアノを演奏する前のウォーミングアップも兼ねている。
アルペジオは、あらゆるピアノ演奏の基礎となるからだ。
「うん、そろそろいいかな」
指の準備運動も終えて、私は一つ深呼吸をする。
心を研ぎ澄ますように。
耳を澄ますように。
集中力を高める。
そして。
演奏を始めた。
1曲目に選んだのはブラームスの【ワルツ第15番】だ。
この曲を選んだ理由は、まあ、特にない。
誰に聞かせるわけでもないしね。
ただ弾きたかったから弾くだけだ。
静かな無人島。
静かな自室。
そこで優しく奏でられる【ワルツ第15番】の旋律。
何度も弾いたことのある曲だから、楽譜を見なくても、指が動いてくれる。
透き通るような音が、空気に溶けていく。
この曲は、深い郷愁の念を感じさせる音色で……
陽だまりのように柔らかく、それでいて物憂げなノスタルジーさもある曲想だ。
私は弾きながらピアノの奏でる音に集中する。
深く。
深く。
深く。
音の世界に没頭する。
そうして。
1曲、弾き終えた。
「ふう……」
とても深いリラックスと。
陶酔感が胸に満ちていた。
誰もいない島でブラームスを奏でる。
情趣に満ち溢れた時間である。
「さて……次は何を弾こうかな」
こうして私は、2時間ほどピアノと戯れ……
至福のひとときを過ごした。
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