第1章22話:サラダとスープ


「スープとサラダも召し上がってみてください。そちらも美味しいと思いますから」


「ふむ。では頂いてみましょうか」


クレイシアさんはコールスローサラダにフォークを突っ込む。


そしてサラダをすくい、口に運んだ。


「まあっ、ほんとに美味しいですわね! これはサラダなんですの?」


「ええ。マヨネーズという調味料を使ってます。ちょっと黄色い色をしたとろみのあるソースなんですが」


「マヨネーズ……聞いたことはありませんが、このサラダが絶品なのはわかりました。これはこれで、ハンバーグに負けず劣らずの味ですわね!」


そう言ってクレイシアさんはコールスローサラダをバクバクと食べ始める。


色んな料理をまんべんなく食べるのではなく、一つの料理を一気に食べる感じなんだなぁ……


そして、コールスローサラダもあっという間に完食だ。


最後にスープを飲んでいく。


「ああ……このスープも、なんとも上品な味わいですわね。ほんのりと海の香りを感じますし、実にエレガントですわ」


「海藻を使っていますから、海の香りはそこから来ているのかもしれませんね」


「正直なところ、海藻なんて食べ物ではないと思っておりましたが、これは認識を改めなくてはいけませんわね」


クレイシアさんはごくごくとスープを飲み干し、海藻を食べていく。


こうして、彼女はランチを完食した。


「ふう。至福のひとときでしたわ」


「お粗末さまでした」


クレイシアさんが微笑み、私に言ってくる。


「あなたの料理は、本当に素晴らしい味わいでしたわ。三品とも、かつて味わったことのない逸品でした。確かにこれは精霊界の料理と比べても隔絶しております。天才シェフの名は、偽りではなかったということですわね」


「ちょ、ちょっと大げさではないでしょうか。あと、私は天才ではありません」


「ふふ、あからさまな謙遜は不興を買いますわよ? はぁ……それにしても、ルリアが絶賛するのも頷けますわね。わたくし、あなたの料理のファンになってしまいました」


「そ、それは、なんというか、ありがとうございます?」


こんなふうに絶賛されると、なんて対応したらいいか悩んでしまう。


そのときクレイシアさんは、告げる。


「このような料理をいただけたのですから、何かお礼をしなくてはいけませんわね。ああ、そうですわ。あなた、無人島生活をクラフトスキルでやりくりしているのですわよね?」


「あ……はい。そうですね。女神さまにもらったクラフトスキルのおかげで、すごく快適に過ごせています」


「……しかし、素材がなければクラフトはできませんでしょう? ですからお礼に、クラフトのための素材を提供させていただきますわ」


「ほんとですか? それはすごくありがたいです」


素材は枯渇しているわけではないが、乏しくなってきていたからなぁ。


さらにクレイシアさんが言う。


「あと、そうですわね。食材も提供いたしましょう。たくさん食材があったほうが、あなたも様々な料理にチャレンジできるでしょう?」


「とてもありがたい話ですけど、いいんですか? そんなにいろいろと貰ってしまって」


「構いませんわ。こちらも得難い経験をさせてもらいましたもの」


食材とクラフトの素材を頂けるなら、本当に助かる。


「アイテムボックスはお持ちですかしら?」


「はい、持っています」


「では、一気に渡しても大丈夫そうですわね。一度精霊界に帰って、食材と素材を取ってきますわ」


そう言って、クレイシアさんは精霊界へと帰っていった。


そしてその後、戻って来た彼女から、膨大な食材と素材を頂いた。


特に素材はめちゃくちゃ豊富だったので、しばらくはクラフトに困ることはないだろうと思えた。


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