音楽隊の勇者たち-幸せを奏でた冒険物語

緋色有機@休業中

ロバの旅立ち

かつて、どこまでも働き者だったロバは、年を取り仕事ができなくなってしまいました。そして、飼い主から虐待されるようになり、悲しい日々を送っていました。


ある日、ロバは心の中に強い思いが生まれました。「このままではいけません。私はもう若くはありませんが、自分の力で生きていく方法を見つけなければなりません」と決心したのです。


ロバは自分の故郷を離れ、大都市に向かうことを決めました。そこで彼は音楽隊に加わり、音楽を奏でることで生計を立てようと考えたのです。


道中、ロバは同じような境遇のイヌ、ネコ、そしてニワトリと出会いました。彼らもまた飼い主から虐待を受けていたのです。彼らはロバの考えに賛同し、大都市への旅に同行することを決めました。


しかし、大都市への道は遠く、日が暮れてしまいました。動物たちは疲れ果て、森の中で休むことにしました。すると、遠くから明かりが灯る家を見つけたのです。


動物たちは興味津々でその家に近づきました。家の中では泥棒たちが豪華なごちそうを食べながら金貨を分け合っている様子が見えました。


「ああ、私たちもあんな美味しいものを食べて、豪勢な生活を送りたいものです」とロバがつぶやきました。


ロバは一計を案じました。「私たちが泥棒たちを追い出せば、ごちそうを食べることができるかもしれません」と提案しました。


窓の所でロバの上にイヌが乗り、イヌの上にネコが乗り、ネコの上にニワトリが乗りました。そして、一斉に大声で鳴きました。


泥棒たちはその大きな声に驚き、窓に映った動物たちの影を見て、お化けが出たと叫びながら逃げ出してしまったのです。動物たちは家に入り、ごちそうを食べながら大満足でした。


お腹いっぱいになった動物たちは、明かりを落として眠りにつきました。彼らは安心して眠れりました。


翌朝、動物たちは目覚めました。心地よい朝の光が差し込み、家の中は穏やかな雰囲気に包まれていました。


すると、森に逃げ帰った泥棒たちが再び家を取り戻そうとやってきました。一人が偵察のために家の中に恐る恐る踏み込みました。泥棒が入った部屋は外からの明かりが入らずに真っ暗でした。


しかし、そこには待ち伏せていた動物たちが彼に襲い掛かりました。ネコは引っかき、イヌが噛みつき、ロバが蹴とばし、ニワトリは突っつきました。闇の中で散々な目にあって逃げ帰った泥棒は、本当にお化けに襲われたと思って仲間に報告しました。


泥棒たちは怖くなって、家を取り戻すことを諦めて退散してしまったのです。


動物たちはこの家に住むことを決めました。家は彼らにとって心地よい場所であり、音楽を奏でながら仲良く暮らすことにしました。


そして、泥棒が残していった金貨を元手に新たな計画を立てることにしました。当時、なぜかチューリップの球根に大きな価値がつき、相場が暴騰していました。人々は熱狂的にチューリップの取引を行い、チューリップバブルと呼ばれる状況でした。


ロバは冷静に状況を分析しました。「このバブルはいつか終わり、高値をつかんだ者が大きな損失を被るでしょう」と予測しました。


すると、ニワトリが口を開きました。「チキンレースなら得意ですよ。チキンだけに。」と言いました。彼は自信満々でした。


ロバはニワトリにチューリップの取引を任せました。ニワトリは自分の得意なチキンレースの勘を頼りに、ぎりぎりの高値でチューリップを売り払いました。


その後、チューリップの相場は急落し、バブルは崩壊しました。多くの人々が大きな損失を被りましたが、ニワトリはひときわ巧みな取引で莫大な利益を得ました。


イヌとネコは何もせずにいたものの、彼らもニワトリの成功によって得た巨額の利益に分け前をもらいました。彼らは一躍裕福な生活を送ることができるようになったのです。漁夫の利というヤツですね。


イヌは快適なベッドでのんびりと寝転んで過ごし、ネコは贅沢なご馳走を食べながら優雅にふける日々を送りました。


ロバはは満足していました。自分たちが困難な境遇から抜け出し、幸せに暮らせるようになったことが何よりも嬉しかったのです。


動物たちは家に住みつき、音楽を奏でながら楽しい日々を過ごしました。彼らの音楽は大都市中に広まり、人々から愛される存在となりました。


また、彼らは泥棒が残していった金貨を使ってバブル崩壊後に安値となったチューリップの球根をさらに安値で買いたたき、庭に美しいチューリップを咲かせることにも成功しました。その美しいチューリップ畑は大都市でも有名になり、多くの人々が観光に訪れるようになりました。


このようにして、かつて虐待を受けていた動物たちは、困難を乗り越えて幸せな生活を手に入れたのです。彼らの勇気と団結が、彼らに新たな未来をもたらしたのです。


動物たちは次の世代にこの物語を伝えることを誓いました。彼らは人々に勇気と友情の大切さを伝えるため、この物語を語り継いでいくのです。


そして、人々はこの物語を聞きながら、自分たちも困難に立ち向かい、助け合いながら幸せな未来を築くことの大切さを学ぶのでした。


こうして、ロバと仲間たちの物語は、昔話の中で語り継がれることとなりました。


[おしまい]

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

音楽隊の勇者たち-幸せを奏でた冒険物語 緋色有機@休業中 @mixjuice2k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ