第二十九話 決戦前のレベルアップ!
《エラン視点》
「……去ったか。カルム達と何を話してたんだろう」
ウッズが視界から消えたのを確認した僕は、《ズーム》と《
まさか、僕の噂話を……?
「いや、ありえないな」
僕は自嘲気味に吐き捨てる。
役立たずと決めたヤツは容赦なく切り捨てるのが、ウッズという人間だ。僕の事なんて、頭の
「ねぇ、ねぇってば!」
後ろからゆさゆさと肩を揺すられ、振り返る。
クレアが不機嫌そうな面持ちで、僕を凝視していた。
「さっきから、一人で納得してるみたいなんだけど、何を見たのか私にもちゃんと説明してくれないかな?」
「え~。う~~~ん……」
ひとしきり唸った後、サムズアップして答えた。
「男の因縁……みたいなものだよ。だから首を突っ込まない方が良い。火傷するぜ?」
「……」
ジト目で睨んでくるクレア。
しばらくの間無言の時が流れた後、不意にクレアはぷいっとそっぽを向いてしまった。
「ま、カッコ付けたいなら勝手にすればいいけど?」
「……う、うん。ごめん」
はぐらかし方を間違えたと、後悔する僕であった。
「そんなことより、早く行こうよエランくん」
「ああ、そうだね」
僕は頷いて、また歩き出した。
ジャイアント・ゴーレムを倒した場所に戻ったら、また新たなステージに行かねば。
二人+一匹は、薄暗いダンジョンを突き進むのだった。(ちなみにとーめちゃんは《
△▼△▼△▼
――ジャイアント・ゴーレムを倒した先の道は、そこそこに険しいものだった。
今まで戦った中でも屈指の防御力を誇る、Sクラスモンスターの《
単体でサイクロプスにも引けを取らない強さを持つモンスターが、後から後から無尽蔵に湧き出てくる魔窟。
流石、最下層と言う他なかった。
が、僕には《
敵に有利なスキルをゲットしまくり、立ちふさがるモンスターを片っ端から
防御力特化のモンスターには、それを打ち砕く攻撃力で。スピード特化の奴等には、更に上回るスピードで。
気が付けば、
まあ、他の冒険者もよくやっている地道なレベル上げをS~SSクラスモンスターでやっているのだから、当然と言えば当然なのかもしれないが。
ただ一つ、敵を撃破していく中で、度々最下層にいるはずのない低ランクモンスターを見かけたのだけが気がかりではあった。
そんなこんなで、行く手を
◆◆◆◆◆◆
エラン
Lv 135 → 248
HP 3120 → 6500
MP 548 → 1020
STR 520 → 999
DEF 387 → 875
DEX 151 → 226
AGI 172 → 240
LUK 118 → 172
スキル(通常)《
スキル(魔法)《
ユニークスキル 《
アイテム 《ナイフ》×1 《HP回復ポーション》×44→120 《MP回復ポーション》×38→44 《状態異常無効化の巻物》×26→38 《魔鉱石・赤》×36→78 《魔鉱石・黄》×69→106 《魔鉱石・青》×104→212 《魔除けのブレスレット》×1 《ガントレット(左手)》×1New!
個人ランクS
所属 《緑青の剣》(追放)
◆◆◆◆◆◆
「大分強くなったね、エランくん」
「うん、そうだね」
にこにこ笑顔で僕の方を覗き込んでくるクレアに、頷き返す。
斜め後ろから付いてくるとーめちゃんが、満足げに『きゅう!』と鳴いた。
《テンペスト》と別れてから、おそらく四、五時間は経ったろう。
「お腹空いたな~」と思いながら、敵を倒しまくり進んでいくウチに、ダンジョンの様子も少し様変わりした気がする。
洞窟のような通路も広くなり、全体的に赤黒い不気味さを湛えている。
ふと進む先に、ぽつりと明かりが見えた。
その向こうから、とてつもない邪気を感じる。ジャイアント・ゴーレムとは比較にならないレベルの、強い邪気を。
「――いよいよ、ラスボスみたいだ」
「そうだね」
僕は気を引き締め、唾を飲み込む。
やがて、その明かりの先に踏み込んだ。その先で見たものは、想像を絶するほどの
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