第3話 作者様の知らない酒場の亭


 異世界の酒場。

 夜の入り口の頃に開店する、その酒場は、

重厚な木で、しっかりと頑丈に作られた酒場。

鬱蒼とする森の中に、しかし堂々と存在するその酒場は、二階建てのコンドミニアム程の大きさで、異世界の者達を迎え入れる。


今日も大賑わい。


ここには、沢山の、

とある、【異世界の者達】が集う。


そのとある者達とは、


【作者様に不憫な扱いを受けている者達】。


 今日もこの、

酒場「作者様の知らない酒場の亭」

は、客である、その者達で溢れかえって超満員。



 あるテーブルに、ローラを待つ二人が居た。

「あー、エターナル。もうエターナルだよ。」

 

銀の長い髪をさらりとさせ、耳もとで髪を掻き上げるフェミニンな仕草をしながら、

青年は言った。

 青年は、整った顔を暗くさせ、すらっと伸びた足を組み直し、

ビールジョッキを一気に空にした。

「ぷへあ!げふー。」


 そんな青年の向かいには、

今度は金のショート髪に、とても体がムキムキとした、そして、

とても童顔な女性が座っている。

 

 とても少女らしい声でその女性は言った。

「ロイ、あんたまだ3ヶ月でしょ?小僧だよ!

私なんか、2年だよ、、」


 青年は、ロイという名前だった。

「ごめん、イライザ。

君の前で、、


 イライザ、ところで、前よりも、何か、体が大きいよ?」


女性は、イライザという名前だった。

 「修行をする為に、作者様の記した通りに、

 試練の神殿に入ったんだ。

 そして、それから、2年だよ。

 2年、話は進まないから、

 

 私は神殿で、修行しっぱなしなんだ。」

 

 「げふー。」ロイはゲップした。

 

 「そしたら、こんなに大きく、なって、、ク、、。」

 

 「修行あるあるだね。」

 「あるか!そんなあるある、あってたまるか!

 修行って事は、これからが良いところなのに!

 私は、魔法少女なのに。全然帰れないから、

 MPが足りなくなって、、

 だから、仕方無く、素手で。。」

 

 「魔法少女あるあるだね。」

 「あるか!」

 

 ゴゴゴゴゴ

 

 フローズン?

 ミルク?

 

 どこからかの声が、酒場に届く。

 

 ゴゴゴゴゴ

 

 フロージェン♪

 ミルケゥ♪

 

 やがて、酒場にいた者達も騒ぎ始めた。

 

 何だ、この音は?

 新手のモンスターか?

 

 ゴゴゴゴゴ

 

 フ、フロ、フロ、フロ、

 ミ、ミル、ミルク、あ、

 

 ロイとイライザは、揃って椅子から腰を上げ、酒場の外へ向かう。

 

 ゴゴゴゴゴ

 

 フローラの負けー!

 あちゃー!

 

 ロイとイライザは、酒場から出ると、それを見上げ、それに向かって叫んだ。

 「おーい!ローラ!早く中入れよー!待ってたぞー!」

 

 「え、、何だこれは?とか無いの?!」ローラは驚いた。

 

 ロイは言った。

 「知ってるよ!お前も神殿で修行してたらそんなに大きくぶふぅ!」

 ロイの溝落ちに、イライザの拳が突き刺さる。

 

 イライザは低いトーンで言った。

 「お前は、人の痛みを知らないのか?」

 

 「つ、強くなり過ぎたな、イライ、ザ」

 ロイは力尽きた。

 

 「しまった、ロイ、、」イライザはレベルが上がった。

 「こんな、レベルの上がり方、あるかよー!」

 イライザは体技「泣き叫ぶ」を覚えた。

 

 「フ、フローラさん、早く降りよ!ロイが、ロイがぁ!」ローラも叫んだ。

 「ど、どうやって降りるかわかりません!ローラ様、どうしましょう!

 

 ここは、

 適当に、えい!ポチ!」

 フローラが押したボタンに、ロボットが反応した。

 「LOCK ON!」

 「え、何?」

 「わ、わかりません!」ローラとフローラは慌てるが、遅かった。

 

 ロボットから大量のミサイルが発せられる。

 それぞれのミサイルが当たる度、

 

 フローラはレベルが上がる。

 

 「と、止まってー!」

 

 フローラのレベルは、上がり続ける。

 

 やがて、全てを焼き尽くした。

 

 「フ、フローラさん、帰ろっか、お店、無いみたいだし、」ローラは言った。

 「そ、そうですね、」

 

 ゴゴゴゴゴ

 

 「フローラさん。」

 「はい?」

 「クビで。」

 「ヒィ!」

 

 通りすがりの、エタの主人公が持っていた、大量の生き返り薬で、

 皆は無事、生き返ったという。

 

 

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