全部可愛いよ

ようやく、パブロと絵理の結婚の日取りが決まった。

パブロ28歳、絵理26歳の秋、2人は結婚をする。

式は家族のみで、簡単に済ませる事にした。


「きれい?」

2人は結婚式のドレスの試着に来ていた。

「キレイキレイ」

パブロは拍手をしながら、バカにしたように答えた。

絵理はパブロを睨みつけた。

「ね、カラードレスは、赤と黄色とピンクならどれがいい?」

「全部」

「適当すぎ…」

「全部、着たら?」

「こんなに?」

「式にお金かからないから、ドレスにお金かければいいじゃん?」

「え、でも」

「俺、稼いでるつもり」

「うん。それは嬉しいんだけど」

「ん?」

「どっちがいい?みたいのがやりたかった…」

「……」

「もういい」

「こっちがいい」

パブロはピンクのドレスを指さした。

「えー、それかぁ…」

「聞いといてなんだよ…」

パブロは呆れて笑った。

「全部可愛いよ」

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