お喋り覗き窓

板東英ド

奈良県

 大学の授業で、グループワークの時間になった。そこで運良く、クラスで唯一仲いいあいつと同じグループになった。グループの構成は自分とそいつと他男子二人、女子一人の計五人。そのときの一コマ。


 友人「おまえの地元どこだっけ」

 自分「知ってるくせに、知らんふりすなよ」

 友人「はいはい、あの未開の地ね」

 自分「人の地元を秘密の魔境みたいに言うなよ」

 友人「おまえまだ自分の地元を日本のMIYAKO(都)と思ってるんやろ、そろそろ寒いぞそのノリ」

 自分「今でこそ東京が日本の中心やけど、元々はこっちが一番最初の都やからな?日本史で国民全員が習うんやから」

 友人「いつまでやってんだよ、もうやめちまえよみっともないぞ」

 自分「そんな辛辣なこと言うなよ」

 友人「え、710(なんと)おおきな平城京?で794(なくよ)うぐいす平安京?」

 自分「そうや、平安京の方が後」

 友人「平城京の期間短っ!」

 自分「なんだこいつ」


 正直この会話、自分もそいつも「なかなかいい掛け合いしたな」と、肌でひしひしと感じていた。二人とも同じタイミングで、ややどや顔で周りを見渡した。


 ・・・誰も聞いていなかった。ウケるの「ウ」の字もなかった。

 帰りの電車内、二人で愚痴った。なんで聞いてねぇんだよ。


 いや、そりゃそうだろ。

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