第30話 存在価値
降り注いできた
思わず、水を撒いていた
──ピシュウゥゥゥっ!!
ぼとっ。
そのまま地面に落下した
そして核の色が黒から灰色に徐々に変わっていった。
「ハヤテ!大丈夫か?!」
駆けつけたマシュー先輩が、足元の
何度か分裂を繰り返し、原付バイクサイズからクッションくらいの大きさに縮んではいたが、まだ両手で抱えるサイズで、それはつまり、まだ人なんかあっという間に溶かせるサイズなわけで……
「ちょぉっ!何やってるの?!マシュー先輩が溶けちゃう!!」
慌てて駆け寄り
「わぁぁ!俺も触っちまったー!腕溶けるーー!」
「落ち着けって!腕、溶けてねぇだろ」
パニックになった俺の腕をガシッと掴むと、マシュー先輩が
その腕を俺の顔の前で振って見せた。
「……腕……ある」
「だろ?俺も溶けてねぇ。さっきの
足元に叩きつけた
「核の色が薄くなると、もう
素手は勇気がなかったので、試しに手に持っていた
「な?ところで、まだ周りにはいっぱい
「あ!そうだった……試してみる」
そういえばパニックになって一瞬忘れてたけど俺の周りにいっぱい分裂体が落ちてきてたんだった。
幸いなことに先程まで撒いていた水のおかげか、落ちてきた
そのうちの一体に狙いを定め、
先程は無意識だったが、今回は意識して先端を細く尖らせてみた。
──ピシュウゥゥゥっ!!
狙い通り水は
貫通したあとの水は勢いが無くなるのか、ただの水となって周りに水溜まりを作っていた。
「すげーな、それ!そしたらハヤテ、この辺りの
そう言って元の担当場所へ戻るマシュー先輩を見送り、俺は自分に任された範囲の
転々と地面に転がる
「なんだ?ここの
「燃やさずに倒せるのか?なら俺も倒す時山火事心配しなくて済むんだけど」
「ライアン!あんたほんともう少し魔力調整特訓して!アタシ結局あんたのつけた火の消火係になってたじゃないの!ハヤテちょっと聞いてよ、ライアンってば……あら、そういえばこの
ジェシカが転がってる一体をつつく。
「あー、この辺のは俺が倒したんだけど……あと少しまだ残ってるかも」
「お、ここに一体いるな。ハヤテ、ちょっとこいつ頼んでいいか?」
隊長に言われ、同じようにその
「え、水?」
「なるほどな、またハヤテの凄技か……とりあえずこの辺見回るか」
みんなで周りを捜索しようとしたところでマシュー先輩が帰ってくる。
「あ、隊長!この辺りは捜索終わりましたよーっと。おそらく殲滅出来てるか、逃げても数体って感じなので森に影響出る心配はなさそうです」
「ご苦労さま。んじゃとりあえず……」
ガシッ。
隊長に肩に手を回され首が締まる。
「ぐえ」
「ハヤテー!詳しく話を聞こうかー!!」
わかったから!話すんで、腕の力を抜いてくださーーーい!!
隊長の腕から抜け出し、俺は、水撒きしてたら上から
「燃やさなくても倒せるのは大発見だな。これなら魔石も取り出せるし、本体も残る」
「
みんながやたらと燃えなかったことを絶賛するので、
「なんだハヤテ知らなかったのか。
「本体も核もどっちも使い道があるのよ。二つとも、ハヤテも毎日見てるでしょ?」
「へ?」
ちらっと
「
「え、あれがそう?!」
そういえば、しつこい汚れのある皿とか服を洗う時、なんか粉を入れるんだよ。単純にそういう洗剤なんだと思ってたんだけどあれが
「で、たまに燃え残りの本体が残る時がある。それは湯浴みの時に使うだろ?」
「まさかあの泡立たない石鹸?!」
詰所の外の露天風呂を使うようになってから、ライアンとも何度か顔を合わせ、その時に借りた石鹸が凄く洗い上がりがサッパリして気に入ったから、わけてもらったんだけど……あれも
「それに、一日に何度も世話になる場所にもあるじゃねぇか。トイレの桶にも
……まさかのトイレでも
「終わったあとここに魔力流して」ってロバートに言われて桶についてた魔石に魔力流してたけど……
いつも魔力流すと、桶の底に敷き詰められてる灰みたいのになるからそういう水洗トイレみたいなもんなんだと思ってた。
あれ
じゃあもしかして底に敷かれてるのは
「核も本体もなかなか残らないから在庫減ってたけど、ここら辺の集めたら結構在庫潤うわ!これ、みんなで持って帰りましょ!」
思わぬ収穫にみんなウキウキで
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