第28話 守護の森
次の日、朝食を終えるとジェシカとマシュー先輩と共に森へ向かった。
「じゃあ、向かいながら再度教えるけど、巡回隊の役目は『森に異常がないか見て回る』コト。普段とどこか違うところはないか、魔物たちが異常な行動したりしていないか、とかね。森の奥まで行くこともあるから、戦える能力と逃げる能力がないと連れて来れないのよ」
「ハヤテは、いざとなったら
「了解!」
ロバートとの特訓の結果、森を一周出来るようにはなったけど、未だに息抜きでやる鬼ごっこでロバートを捕まえられたことは無い。
それでも
ただ、戦闘面は全然ダメで、ナイフの扱いも今はまだ修行中。
……まず、台所で魔物の肉を捌くのに慣れるまで相当時間がかかったんだよな。
日本にいた頃は、肉は既に当たり前に加工されて家の冷蔵庫にあったけど、
そんな感じで食事用の魔物はナイフで捌けるようになったけど、生きている魔物は
ロバートとの走り込み特訓の時も、森のほぼ外周みたいなところだったからあまり魔物は生息していないんだって。
だから今日は……
「そういえばハヤテ、まだ魔物見たことないんだろ?もし魔物を見つけたら解説してやってくれって隊長から聞いてるんだけど」
「あ、そうなんだ。一応詰所にあった魔物の本は読んだんだけどさ。
「なら、第一次遭遇ね。あそこに
ジェシカの指さした先に、何かいる?
え、ホントにいる?水溜まりしか見えないんだけど。
目を凝らしよくよく見てみると水溜まりじゃなくて、なんかアレ、和菓子の水饅頭を大きくしたみたいなやつが何匹か固まっている。
ちょっと美味そう。
「あれは?なんか美味そうだね」
「げー、ハヤテ。あれを美味そうとか思うのかよ」
「俺の故郷のお菓子に似てるんだよ」
「あれと似た菓子を作るなんて、ハヤテの故郷変わってんなー。あれは
触るものを溶かす……スライムみたいなもんかな?見た目もそんなイメージだし。
「森を歩いてて、
「え?!」
「単体としては弱いから気配とかほとんどないんだよ。んで、たまに木の上とかに居たりするから、そいつがもし頭の上から落ちてきたりしたら……一瞬で溶けちまうぞ?」
……ゾッ。
想像しただけで背筋に冷や汗後流れる。
音もなく忍び寄ってきて、突然頭の上から降ってきて身体を溶かす……怖っ!!
「ただやっつけるにも、物理攻撃効かないから魔法で核ごと焼くのが一般的な対処法な。あの身体の真ん中の色がついてるとこ攻撃すれば生命活動止まるから。魔石ごと焼けちゃうから勿体ねぇんだけど。あー、あとは水を撒くと近寄ってこないから群れに遭遇したら水撒いて逆方向に逃げろ」
「水、苦手なのか?」
「どうだろ?水かけてもケロッとしてるぜ。だから弱点ではなさそうだけど近寄らねぇな。ただ乾いたら普通に追ってくる時もあるからしばらく警戒は解くなよ」
雑魚のようで雑魚じゃない
「ああして、普段は森の中の魔物の死骸を溶かして糧にしているの。死骸は放置すると瘴気を出して魔を引き寄せるから
「瘴気をほっとくと魔物が増えたり凶暴化したりするから、森の生態系を壊すような大量発生でもしない限り、基本的には
「了解!」
ナイフは使えなさそうだし、俺の火力じゃ燃やすのも出来なそうだからどっちにしろ逃げる一択だな。
俺たちはそっと
「あとこの辺で遭遇するとなると
「あぁ、たまに見かけるな。あとは
「え、
俺が会ったのとは反対くらいの位置なんだけど。
「あぁ、
「ただ、最近は緑珠の辺りを彷徨いてることが多いからあの辺りの巡回を強化したのよね。あ、ハヤテまだ緑珠見たことないでしょ?帰りに寄ってみましょうか?」
「あ、緑珠見たことない!見れるなら見たい!」
確かロバートが凄いべた褒めしてたやつだよな。めっちゃ気になってたんだけど、ある場所が森の奥って言ってたからまだ見にこれてなかったんだよ。
「じゃあ帰りに寄ってこうぜ!何事もなければ今日はヨユーで帰れる行程だしな」
マシュー先輩がフラグのようなセリフを放ったからか、急に背筋に悪寒が走る。
……なんだ?
思わず警戒して辺りを見渡す。すると、二人も警戒モードに入っていた。
何か……来る?
ふと見上げてみれば、マシュー先輩が背にしている崖の上から落石が落ちてきていた。
「マシュー先輩、危ない!」
風を蹴って駆け出し、マシュー先輩の頭に
間一髪で避けたそれは、先程見たものとは桁違いの大きさの
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