ブレイザーズ 異世界の守り人
kou
第1話 異世界への旅立ち
心地よい日差しが降り注ぐ。
そんな陽気を全身で感じながら、二人の小学生兄妹が並んで道を歩いていた。
少年は背が平均より少し高いくらいの、ごく普通の体型をした平凡な容姿をしていた。黒髪を優しく流した髪型に、凛々しい目は活動的な印象があり、元気いっぱいの雰囲気は人懐っこい犬を連想させる。
服装はカジュアルで動きやすそうなTシャツにハーフパンツと軽装だ。
名前を
11歳の小学5年生だ。
少女の方も兄と同じ年頃だが、身長は頭一つ分以上低く、華奢な体つきをしている。瞳は大きくクリッとしており、どこか小動物のような可愛らしさがある。
背中まで伸びた髪にはゆるくウェーブがかけられており、柔らかな雰囲気を醸し出していた。
服は清楚で可愛らしいワンピース姿。
名前は
「図書館に本を借りに行くのに、何で僕まで付き合わされてるんだ?」
勇輝は隣にいる妹を見て、不満げに呟いた。
今日は本来なら休日であり、学校から出された宿題などもないため、友達とサッカーをするハズだったのだ。
「だって私一人だと怖いんだもん」
しかし澪の方は、そんな兄の不満など全く気にした様子もなく笑顔を浮かべている。
「閉架書庫ね」
勇輝は零す。
「そうなの。閉架書庫って表に出していない本が沢山あって、凄く面白いの。でも、地下にあるから暗くて。だから一緒に来てよ~」
澪は両手を合わせ、お願いする仕草をしながら言った。
図書館には一般閲覧室とは別に、特別な利用者しか入れない閉架書庫という場所がある。そこには一般には公開されていない珍しい本や、貴重な資料などが保管されているのだ。
澪は本好きで好奇心旺盛な性格のため、そういった珍しい本に興味津々なのだ。
手には図書館の検索機で印刷したリストを手にしている。
二人は図書館に着くと司書のお姉さんに挨拶をした。
「あの。妹が閉架書庫の本を探したいって言っているんですけど、中に入れてもらえますか?」
すると司書のお姉さんはニッコリ笑って応じる。
この図書館では閉架書庫へは許可を経て入ることができるのだ。
「分かりました。では、ここに名前と貸出カードをお預かりします。それと手荷物は、そこのロッカーに入れて書庫に入って下さい。閉架書庫に入る時のルールですから」
そう言って指さしたのは、閉架書庫入口脇に置いてある鍵付きのロッカーだ。
勇輝は閉架書庫利用者用紙に自分達の名前を書き、二人の貸出カードを添えた。
「あの。手荷物はダメだそうですが。暗いって聞いたんで懐中電灯を持ってきたんですが、良いですか?」
勇輝はLED懐中電灯を見せる。
掌サイズではなく、少し大きめの懐中電灯なので、邪魔にならないように肩掛けのバッグに入れていたのだ。
勇輝の言葉を聞いた司書のお姉さんは、苦笑して答える。普通ならばNGだが、小さな物は大丈夫だと。
「えっと。私もリストにある本をチェックをするための蛍光ペンを持って行きたいんですけど……」
恐る恐るという感じで、澪は蛍光ペンのセットが入ったポーチを見せた。
「良いですよ。少し暗いので足元に気をつけて下さいね」
その言葉を聞いて、勇輝と澪は顔を見合わせて喜んだ。
そして二人仲良く並んで歩きながら閉架書庫へと入った。
地下室へ続く階段は暗く、空気そのものがひんやりとしている。
「お兄ちゃん。私、怖い」
澪は勇輝の腕にしがみつくようにして歩く。
「大丈夫。僕がついてるだろ]
勇輝は澪を可愛いと感じた。
階段を下りると薄っすらとした明かりの中、地下独特の空気が肌に触れる。
二人が進む先には頑丈そうな鉄扉があった。
ドアノブに手をかけて二人は閉架書庫に入ると、二人は大量の蔵書を目の当たりにした。
圧倒されるような数の本の数々に、澪は目を輝かせる。
まるで宝物を見つけたかのように。
澪にとってここにある本は全てが宝であり、本棚に並ぶ本全てが憧れの存在なのだ。
そんな澪の反応を見て勇輝も嬉しくなる。
「それでどんな本を探すんだ?」
勇輝はリストを見ながら尋ねた。
図書館に本は、日本十進分類法(NDC)によって分類されているので、その番号によって本を探すことができる。
「えっと。このリストの番号と、書架にある番号をみればいいのよ」
そう言いつつ澪は自分のリストを手に歩く。
少し暗いので勇輝はLEDライトで照らしてあげた。
澪はその光を頼りに本を探していく。
目当ての本を探しに来たのだが、書架を歩いていると色々と面白そうなタイトルがあることで、立ち止まって本を手にしてしまうのは仕方のないことだと言えるだろう。
「お兄ちゃん。これ何だろう?」
澪は『伝説の物語』という本を手にする。
表紙を見ると、古い装丁で古めかしい雰囲気のある本だ。
「伝説か。どんな物語なんだろうな?」
勇輝は興味深げに呟く。
澪も、そう思っていたのだろう。二人で本を開いてみる。
すると本が光を放ち始める。
眩しさに目を閉じると、二人の意識はそこで途切れてしまった。
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