別人のような姿をして撮った動画がバズったのをきっかけに初恋の人、小悪魔系人気インフルエンサー、100万人に1人の美少女モデルに迫られるようになった件
でずな
第1話 深夜テンションって怖い
「……は?」
俺、
LookTok『ルックトック』
それは数秒程度の縦長動画流れる、俺みたいな高校生の間で流行ってるアプリだ。
このアプリは誰でも自由に動画を投稿できる。
俺は普段、こういう流行りのアプリを使わない。けど、あのときは深夜テンションだった。
スマホに映っているのは『りくちゃん』といういかにも本名から取ったようなアカウント。
そしてメガネを外し、前髪をかきあげ、キメ顔をしてる俺の動画。
「うそだろぉー!!」
再生回数は350K。ハートは85.2K。
投稿してから6時間くらいしか経ってないのに、なんでこんな伸びてるんだよ……。
これから学校に行かないといけないのに。
仮病を使って休みたいくらい、恥ずかしくて死にそう。
まずこの動画に映ってるの誰だよ。加工アプリ使ってないのに、なんでこうなったんだ。
手鏡で今自分の顔を見ても、到底同一人物とは思えない。
俺って結構イケメンだったのかな?
いや。そんなはずがない。
中学時代。この動画みたいな見た目で自分がイケメンだと勘違いした挙げ句、初恋の子に告白して断られたじゃないか。
そうだ。コメント欄にはどんなことが書いてあるんだろう。
さすがに雰囲気から、陰キャバレしてるんだろうな……。
[かっこいい!!]
[モデルさんかな?]
[まだ一本しか投稿してなくて他のSNSアカウントがないってことは、転載垢だな]
いや陰キャだっていう話題すらないじゃん。
ここで俺って実はかっこよかった、だなんて浮かれるのはよくない。
ほら。手鏡を見て。初恋の子に告白したときのことを思い出して。
「ぐすっ」
……なんか朝から泣けてきたんだけど。
もうやだ。これから学校に行かないといけないのに……。
こんな深夜テンションで撮って投稿した動画一本で悩むくらいだったら、消したほうがマシだ。
「ぽち」
俺は目尻を拭いながら、ハートが85.5Kを超えたのを見て動画削除をタップした。
高校一年生の6月。
俺一人、朝のホームルームから帰りのホームルームまで耳を凝らしクラス中の会話を聞いていたのだが。
流石に俺が投稿した動画の話題は聞こえてこなかった。
クラスの人にルックトックで最近キテる人を教えてもらえば済む話だって?
全く。まともに喋る友達がいない俺には無理な提案だ。
いや別のクラスに中学の友達はいるし?
同じクラスにも中学時代は偶に喋ってた人いるし?
別にボッチってわけじゃない。クラスの中では、『物静かな男子』というポジションを獲得している。
けど、そんな俺でも喋りかけてくる人はいる。
「五十嵐くん。少し聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「どうしたの?」
真っ黒な腰まで伸びる髪の毛が特徴的で、同級生なのに年上のお姉さんのような雰囲気の
彼女は隣の席だ。
それでいて、俺の初恋の人でもある。
告白をしてフラれた後。普段通りの関係に戻ることになり、こうして毎日のように喋ってる。
正直、まだ九条さんのことが諦めきれてないので、この関係が歯がゆい。
「今日、朝から五十嵐くんの様子がおかしかったからなにかあったのかなって気になっちゃってて」
「そんなおかしかった?」
「うん。周りをキョロキョロ見て、すごい挙動不審だったよ」
「そうだったんだ……」
九条さんがじぃーっと心配そうな目を向けてきて、思わず顔を逸してしまった。
未練がある初恋の人とあのまま目が合ってたら、今頃正気じゃなかった気がする。
「挙動不審だったかもしれないけど、別に大したことじゃないよ。これは……自分の問題だし。心配させてごめん」
「そっか自分の問題なんだ……。私なら、いつでも相談乗るよ」
「ありがと」
砕けたはずの初恋なのに。
こんな優しくされてたら、いつまで経っても追い続けちゃう……。
『あとがき』
ブックマーク、★★★をもらえるとより頑張れます
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます