やる気のない彼女はヤる気もないらしいです

エレメント

第1話

夜、寒い風が吹き付けてくる中、俺は自分の家へと歩を進めていた。

そして俺は一人ではない。隣にはなんと彼女がいる。

まだ、7,8時くらいだろうか、会社帰りの社員が帰路へとついている。

嫉妬の視線を全面に受け流し、俺は銀髪の美少女、渚 天蒼なぎさ そらと一緒に今は誰もいない自分の家の玄関をくぐった。



……――……


俺、木下 信次は現在高校2年生であり、青春を謳歌している。

まぁ、友達の数は多いとは言えないが、誇れるステータスならある。

俺は……、彼女持ちである。

今そこで舌打ちした非リア諸君、大丈夫俺は彼女はいるけど一度もデートやそういう雰囲気になったことはない。っていうかそれならほぼいないに等しいのでは?と思ったやつ正直に手を挙げなさい。

デートとかそういうイベントはないけど普通に喋れてるからね?女子と。しかも美少女の。

それただの友達じゃ~ん?

はい、そうです誠に申し訳ありませんでした。~完~



はいはい終わらせない、終わらせない。

まぁ話は戻り、つまり俺は青春を謳歌しているつもりの高校2年生だと。

間違えてはないな。間違えては。

彼女はいるけど最早ただの友達。そういう人は多いんではなかろうか(偏見)?

俺もその中の一人で実際問題困っている。

天蒼と初めて会ったのはそう、この高校である。

俺たちは最初のうちは全く接点がなく、いてもいなくてもお互いにとって変わらない存在だった。

しかしある日の晩、事態は急速に変化する。


俺は家の近くの自販機にレッド○ルを買いに行っていた。まぁ近くの公園の中にある自販機というのが最も正しい言い方だろう。

ここら一帯は住宅街の中でもかなり、人通りが少なく治安は良いとはお世辞にも言えない。だから本当は家から出たいわけではなかったが徹夜の必需品とも言えるレッド○ルの在庫がなかったのだ。買いに行くしかない、そう思った俺の行動は速く、即座に家を飛び出した。

道中の道には車通りが少なかったため今でも覚えている。

タクシーが一台、道を走って行ったのだ。そして今の俺なら言える彼女はこのタクシーに乗っていたのだ。

俺が公園に着くと辺りは薄暗く、誰もいないように見えた。

しかし、いたのだ。砂場の辺りに。

そして、砂場にいた人物は泣いていた。それでバレたのだろう、公園に不良と思わしき人物までもが姿を現した。

砂場にいる人は何も気づかず泣き続け、不良の接近にも気付いていなかった。

俺は助けるつもりは毛頭なかったが、見て見ぬふりをするのははばかられ、Youtu○e君から持って来たサイレン音の動画を再生した(爆音で)。

向こうも高校生ぐらいで、将来がお先真っ暗になるのは嫌だったのだろう、すぐさま逃げ出していた。

次にまた新たな問題が襲ってくる。この人、天蒼をどうするかだ。

放っておいた方がいいのだろうが、この場所ではそんなことも言ってられない。

俺は声をかけることにした。


「あの~、すみません。」


すると、女性は振り返り何事もなかったかの態度をとって来た。


「あ、すみません。邪魔でしたよね。失礼します。」


ここでは名乗らなかったが、この人物こそが渚 天蒼その人だったのだ。


そして、次の日から学校で会うたびに話しかけられることとなる。

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