第381庫 ギルド対抗戦(予選) その5

「やぁ、クーラ。この短期間で二度目ましてかぁ」

「……ベンジェっ」


 殺気の要因が明白となる。

 銀と白の入り混じった髪色、白い装束姿の男、あの時はよく見ていなかったが――眉目秀麗、人間離れした整った顔付きをしている。

 いや、最早――整いすぎて、一種の気味悪さすら感じるほどだった。


「偶然、必然、運命のコラボ、記念すべき20組目――最高の出会い、素敵で素晴らしき巡り合いだなぁ」


 無色透明。

 空気中に広がるウィルスのような――嫌悪感のある声だった。

 予選の間は遭遇したくなかった、することを避けたかった。いや、今さらそんな希望的観測は意味を成さない。

 僕たちは――出会ってしまったのだ。


「おいおい、挑発されてんぜリーダー? 20組目なんてクソでかい口叩きやがって、俺たちを撃破する気満々のようだぜ」

「当然のごとく、その結果となるだろうさぁああっ」

「あーあー、うるっせえなぁ。甲高い声だしてんじゃねえぞ――耳障りだ」

「えっ? それ僕のこと言ってるの? 口の悪い君は誰? 何様? 不快だなぁ、不快すぎるよ」

「不快はお前だ。自分の面、鏡で拝んだことあんのか」

「あっはっは。僕の顔に問題でもっ?」

「はっ、もとの世界でコンプレックスでも抱えてたかぁ? 大方、なにかを参考にしてんだろうが不自然極まってるじゃねえか」

「あ、優先順位変更しちゃお。まず君から殺してあげるよぉ」


 ベンジェが、光の剣を取り出した。

 ラミュアに聞いていた情報、仮説通りならば――制約を刻まれる。ベンジェの情報は皆に共有済みだが、煽るようなことを言って後藤さんは策でもあるのか。

 ベンジェは鬼気迫る表情に切り替わり、


「"Kingly"抹殺、この不躾なやつら、例外なく消去だからなぁっ!」


 ベンジェ含め、"Liberty"の参加数は4人だった。

 ニャニャン、アラシ、初見の顔が――1人いる。アラシは虚ろな目をしており、明らかに以前と様子が異なっていた。

 この場にいる全員が、戦闘態勢に入る。


「やはり、我はここに来て――正解だったといえよう。時間経過と共に強者だけが残るは必然、我にとって最高の舞台が整いつつある」

「イリス、お前は俺の隣にいろ」

「了解なの」


 それぞれが、戦うべき相手を見定めて対峙する。


「ニャニャン、やるしかないのか」

「かかってこいよ、ソラにゃん」


 相棒だった存在が、立ちはだかる。


「にゃっち、手加減できるほど器用じゃないのね。どっちが死んでも恨みっこはなしでいこうにゃあ」

「まさか、予選で――やり合うことになるなんてね」

「どうせなら、にゃっちは目立つ場所がよかったけど――リーダーがこういうからには仕方ないのね」


 ニャニャンの全身から魔力が溢れ出す。


「ソラにゃん、どれだけ強くなったか――見せてみろにゃあ」


 始まる。

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