第380庫 ギルド対抗戦(予選) その4

 1、"Liberty"……撃破数19

 2、"Sisters"……撃破数17

 3、"Killer+Killer"……撃破数9

 4、"マッスルマン"……撃破数6

 5、"Kngly"……撃破数5



 予想通り、ベンジェ率いる"Liberty"がトップとなっていた。

 ニャニャンはPvPに関しては天才的、この撃破数にも納得ができる。ニャニャン一人だけでも可能な数かもしれない。

 次いで"Sisters"という正体不明のギルド、撃破数が"Liberty"に並ぶ勢いである。

 上位2組が、頭一つ飛び抜けていた。


「構えろ、また続々と雑魚共が来やがるぜっ!」


 後藤さんが警戒を促すよう――叫ぶ。

 ランキング内のギルドは狙われやすい。真っ先に脅威の存在を潰しておくべきと、他ギルドが徒党を組んで襲いかかって来るのだ。

 基本的には、後藤さんとフレイムが前線にて――迎え撃つ。


 僕とナコは後方の警戒、驚くべきは中心に陣取るイリスであった。

 白と青の入り混じった魔法少女と言わんばかりの可憐な衣装、ナコと同種の戦闘スタイルかと思いきや、全く異なる形だったのだ。

 イリスが自身の背丈より巨大なハンマーを振りかざす。


「全員、凍て付けなの」


 地面に亀裂が走る。

 ひび割れた箇所から冷気が迸り、敵の全身に絡み付いていく。一瞬にして行動不能とさせていた。

 逃げ場のない状況に、後藤さんとフレイムの必殺が迫る。

 強い、強すぎる――その一言に尽きた。今の攻防にて3ギルドが脱落、僕たちのランキング維持は確実だろう。


「犬、ほめて遣わすぞ」

「がるる、イリスはイリスって名前があるの」


 飛び掛かったイリスを、フレイムが頭に手を置いて制止する。


「はっはっは。ナコ同様、お前も噛み付くのが好きなタイプか」

「ぐるる、がうぅっ」


 自己が強い面子ながらも、なんやかんや上手くいっていた。

 その時、後藤さんがカードをシャッフルしながら――迫り来る"なにか"に備えている様子に気が付く。

 それはまるで、今までの戦闘は前哨戦かのような態度であった。

 後藤さんは勢いよくカードを一枚手に取り、


「戦闘狂、本番が残ってやがるぜ」

「理解している。状況的にも――頃合いということか」


 悍ましい殺気が満ち溢れていく。

 後藤さんとフレイムが見つめる先、複数の黒い影が舞い降りるのであった。

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