第345庫 ナコタクシー
「クーにぃ、行って来るねぇ」
「にぃに。忍者ちゃんは私が守るから、任せておいてね」
お手々繋いで、二人仲良く出立した。
この世界では剣聖と称される琴葉、忍者の超越者となるライカ、最強といっても過言ではないコンビである。
ライカが無茶をしたら、琴葉がお姉ちゃんとしてどうにかするだろう。投げっぱなしで申しわけないが――僕も僕で動かねばならないのだ。
そう、この国の――もふもふの長としてである。
「クーラ、ただ今戻りました」
二人を送り、ナコが帰って来る。
もふもふからアクアニアス、国から国の往復、僅か一時間足らずであった。最早、今となってはエアーという機動力はなくてはならない存在である。
そして、それを使いこなせることができるのは――星の寵愛を持つナコだけだ。
「ありがとう。琴葉、ライカは仲良くやれそうだった?」
「はい。琴葉さんがえらくライカを気に入ったようで――ちょっとというか、ものすごい勢いの引っ付きぶりでしたよ」
「……ごめんね。僕の妹一直線なんだ」
「ふふ、私に謝る必要はありませんよ。一直線なところ、私はクーラに似ているなぁって微笑ましく思いました」
ナコが言う。
「えぇ、似てるかなぁ」
「本人は気付かないってパターンは多いですよね」
ナコの言う通り、客観的に見るからこそかもしれない。
僕もナコとホムラは、正反対の性格ながらも――似ている部分が意外と多いことに気付いた。
それは姉妹だからこそ、長年一緒にいた家族だからこそ、どこか共通している箇所がでてくるのは普通なのかもしれない。
僕と琴葉も――きっとそうなのだろう。
「ナコ、今日はこの後――予定はある?」
「特にありません。予定どころか、私にできることが少ないのが現状です。クーラのお役に立ちたいのですが、大人しかできないことが多すぎて」
「ナコは十分役に立っているよ。エアーの移動だけでも、ナコの代わりができる人なんていないんだから」
「そこで、私考えたんです」
ナコが見覚えのある帽子を被る。
「マイマイさんにお願いして作成してもらいました」
タクシー運転手さんの装備である。
マイマイ、一体――ナコになにをしているんだ。絶対、相談とかされて面白いから作成したヨってやつだよね。
ナコがフンッと気合い十分な様子にて、
「ナコタクシー、24時間いつでも発車オーライです」
それはブラックにもほどがある。
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