第323庫 脱出編 その2

 火龍の後ろを付いて行く。

 最初の拠点地は放棄、進んだ先にて――新たに土龍で横穴を掘ってもらう。

 前の拠点地(1号)には、岩盤に大きく文字を残してきた。

 僕たちがここにいたという――痕跡である。

 ライカとポンズが発見する可能性も考慮し、現在の道程も道標となるものを残しながら進んでいく。


「ソラちゃん、このマーキング消えたりしないの?」

「これはガルルガマの油、装備を着色するために使われる染料なんだ。一ヶ月くらいは問題ないはずだよ」


 淡く発光する矢印マーク、岩盤の上からでも容易に書ける。


「ふわー、よくこんなアイテム持ってたね」

「他国で商いする機会があってね。今度、商談しに行こうと思って色々なアイテムを入れっぱなしだったんだ」


 陽の国サンサンである。

 あそこは通貨が三国とは異なる。リペアストーンだけでなく、他のアイテムも売買して金策しておきたかったのだ。

 マーキングも一通り終わり、新しい拠点地(2号)で休憩を取る。


「ホムラ、気付いてる?」

「もちろん、気付いてるよ」


 僕の言葉に――ホムラが頷き返す。


「ねえねえ、結構な数いるよ。この巣穴、シークレットだけじゃなかったの?」

「いや、これで――確証が持てたよ」


 僕たちは臨戦態勢に入る。

 拠点地(2号)の周囲、大量のモンスターが僕たちを取り囲んでいたのだ。

 ペルファリア大山脈に生息するファリティである。

 ゴリラのように大きな体貌、全身白い毛で覆われており、もとの世界でいうイエティに似たモンスターだ。

 ホムラは風龍を召喚しながら、


「ソラちゃん、確証ってどういうこと?」

「エサの貯蔵庫だよ」

「エサ?」

「栄養価の高そうな獲物を保管しているんだろうね。目の前にいるファリティ含め、ペルファリア大山脈に生息するモンスターが多数いるんじゃないかな」


 先に進むたび、戦闘を余儀なくされる。


「この巣穴は、僕たちにとってモンスターハウスだ」


 どれだけの数が貯蔵されているのか。

 一筋縄ではいかないシークレット攻略、さらなる試練が降りかかるのであった。

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