第255庫 王のプライド
武器を構えながら、睨み合うゴザルと剣聖、
「あなた、ソラの――なんなのよ?」
「私の大切な人、それ以外の意味はない」
制止しようにも、双方――全く隙がない。
渦中にいる僕が変に動けば、さらに場を乱すことになりそうだった。
ウォータスは剣聖に一喝されてから――怯えて縮こまっている。
僕はカレアスに視線を向けるが、
「俺の騎士では力不足、怪我をさせるわけにもいかない。すまないが、静観していることしかできないな」
「横に同じく」
イワンドゥも呟く。
「クーラ、薄情なやつだと思わないでくれよ」
「これくらいの騒動、どうにかしてみせるのだな」
二人の王は観客さながら、ゆっくりと茶を啜り始める。
「ちなみに、イワンドゥ王は――どちらが勝つと考える?」
「剣聖に一票、人外の強さは――ストーンヴァイスにも届いている。我輩も多少腕に心得はあるが、一連の動きだけで足もとにも及ばないことがわかる」
「俺はゴザルに一票、クーラの信頼している仲間の一人だ。剣聖の初撃、奇襲を受けても怪我一つない。即座の反撃も見事の一言に尽きる」
「ふむ。滅多に見れぬ強者の戰い――せっかくだ、なにか賭けるか?」
「それは良案だな」
「では、我輩の国にある銘刀――伝説の刀鍛冶ロックが打った『岩龍刀』を差し出そうではないか」
「……イワンドゥ王、本気すぎるだろう。その一振りの奪い合いで戦が起きてもおかしくないほどの代物だぞ」
「当然、我輩が生きているうちに――二度と目にできるかわからぬ戦いなのだ。賭ける品もそれ相応のものでないと観客としての立ち場がない」
「そこまで言われては――俺も真正面から受けようではないか。俺は宝玉『嵐々』を差し出そう」
王たちの会話を聞き――騎士たちが慌てている。
それもそのはず、ご乱心に近いからだ。どちらのアイテムも、最新ディスク5枚目にならないと手に入らない――Sランク級のお宝なのである。
国の財産といっても過言ではない。
「よし、賭けは成立であるっ!」
「頼むぞ、ゴザルっ!」
王たちが興奮しながら檄を飛ばす。
別の場所でも――国同士、プライドを賭けた戦いが始まるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます