もふもふの都開国編
第250庫 もふもふの都
「新しい国を作ろうと思うんだ」
僕の発言に――皆が固まる。
今、"Nightmares"のホームにはカレアスが来ていた。フレイムドルフ亡き後、各国の状態の経過報告――王都を開催地に、三国の王が集まり会合予定との話である。
カレアスは僕の夢物語のような話に笑うこともなく、
「クーラ、ついに――始めるんだな」
「開国に向けて、使えるものは全て使いたい。カレアス、力を貸してくれないかな」
「存分に使え――もちろん、協力する。無論、考えはあるのだろう」
「フレイムドルフという脅威を消し去った功績を称えて――自身の望むもの、報酬を与えるって話が"Nightmares"と"Kingly"の双方に来ているんだ。これを最大限に利用して新たな四国という体制を構築したい」
「あっはっは。まさか、お前が国を作ろうなんて理想を実現しようとは――各国の王は想像もしていないだろうな」
一拍置き、カレアスが本題に入る。
「ミミモケ族を中心とした国にするつもりだろう?」
「この世界に来た時から――ずっと考えていたんだ。ミミモケ族に対する世間的な常識を改変したいって」
「場所はどうする?」
「火の都サラマンがあった土地を――丸ごと報酬としていただくつもりだよ」
「お前、それは国に喧嘩を売るのと一緒だぞ? あそこは、三国が管理していこうという話で進んでいる。実質、管理なんて名ばかりの――土地をどう奪い合うか、牽制し合っているだけだ。そこに首を突っ込むというわけか」
カレアスは顎に手を置きながら、
「正直、悪くはない考えだ。本音を言うと俺は火の都サラマンの土地など――どうでもいい。だが、いりませんと素直に引くわけにもいかないのが現状だ。王たるもの、強い姿勢は他国に見せておくに越したことはないからな」
カレアスは次いで、
「それで、俺に力を貸してくれ――というのは、開国の後押しをしろって話で間違いないのか?」
「さすが、カレアスだね」
話が早い。
「明日、その会合に――報酬の話も含めて僕たちも呼ばれている。そこで大々的に宣言したいんだ」
僕は――迷わず、言葉にする。
「奴隷制度なんてない国、誰もが笑って過ごせるのが当たり前の国を――もふもふの都を開国するってね」
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