第242庫 王都上空最終決戦 その4
2本の触手を展開、フレイムドルフの連撃を防ぎ続ける。
糸状、丸太状、触手の性質を切り替えていき――距離を取って防御に徹する。
一撃で即死に繋がる攻撃、安易に踏み込むことはできない。
フレイムドルフは眉をひそめながら、
「時間稼ぎでもしているつもりか?」
勘の鋭い男だ。
確かに、僕は時間を稼いでいる。白雪からもらったスキル――"絶対炎凍球"を霧のように空気中に細かく分散、フレイムドルフの周囲に散布させているのだ。
元来、魔法剣士は地味でズルい攻撃を得意としている。
ゴザルにもPvPの際、文句を言われていたのが懐かしい。このスキルを習得した時から、僕は一番にこういった使い方を想定していた。
ゴザルが来たからこそ、時間ができたからこその作戦だった。
白雪に言われた言葉、基本に忠実に――自身を消費する戦い方は、最後の手段として残しておく。
着実に――切り札のための土台を形成していくのだ。
ゆっくりと、フレイムドルフの体内に絶対零度の球を蓄積させていく。やつの野心の炎は僕が――内側から鎮火する。
フレイムドルフの口から――白い息が漏れた。
明らかな異常、蝕まれた身体――フレイムドルフが目を見開く。
自身の身体が震えていることを自覚したようだった。
その隙を――見逃さない、見逃すわけがない。
傀儡糸を発動する。
僕は一気に距離を詰め――フレイムドルフの心臓目掛けて突撃する。
だが、フレイムドルフは僕を見て嘲笑った。
「お前がなにか目論んでいることは――気付いていた。我がその素振り見せなければ確実に喰らいついて来ることもな」
フレイムドルフがさらに赤く燃え上がる。
灼熱、マグマのように、自身の凍り付いた身体を無理やり動かす。
両手の剣を大の字に広げて――大きく迎え撃つ態勢に入った。
「我もお前と一緒だ。この瞬間を――待ち望んでいたっ! 一振り、お前に届けば我の勝利は確実なものとなるっ!!」
双方、運命の一撃が交差する。
どちらが速いのか、どちらが力尽くで天秤を傾けるのか、ただそれだけの激突――勝敗は一瞬にして決した。
「……が、はっ」
艦内に鮮血が――飛び散る。
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