KILROY WAS HERE!
@g-i-joe
Kilroy is arrive!
Episode 1:Kilroy is parachuting!
………なんてこった、いつもより寒いと思ったら何故に俺はパラシュートで降下しているんだ?それにそもそも俺は確かベルギーのバストーニュで地に足つけて戦っていたはずだぞ?それがどうしてパラシュート降下する羽目になっているのやら。
ただし文句を垂れたところで何の役にも立ちやしないからまずは周囲を見渡して確認することが先決だ。とは言っても周りを見る限りは人工物は見受けられないし、恐らく着地地点になるであろう森の中の泉とその周辺以外に開けた場所はない。
現状で周囲に見受けられる人工物は俺を支えるパラシュートと、何故かわからないが俺と同じようにパラシュートでゆらゆらと落ちていく物資の入った太い円筒状のコンテナが2つとキャンバス生地の帯と索具で固定された木箱等を纏めたコンテナが1つ。どうかあれらに食料と武器が入っていれば嬉しいのだが。今の俺が持っているのは太腿のホルスターに収められたM1A1カービン一丁と腰のホルスターに収められているM1911A1拳銃一丁に、M1カービンに装着するM4銃剣とトレンチナイフが一振りと、大型の獣を相手にするには少々どころかかなり貧弱な装備だ。せめてあのコンテナのどっちかにM1ガーランドの一丁でも入っていれば良いんだが………
「やぁやぁどうも人間さん、空を飛ぶ気分はいかがかな?」
おぉ、一体こいつは誰なんだ?俺の周りをふわふわ飛んでいるが、背中から生えているらしき白くて大きな羽は動いていない。しかも頭の上に光輪があるし、ますます訳がわからんぞ。
今の状況を理解しているわけではないが、とりあえず一旦は重力に引かれるままでいよう。それから目の前のよくわからん布が薄くて露出度が高い服を着た天使みたいな見た目のお嬢さんの質問にも答えておく。ここから地上までの降下時間は推測だがそこそこかかるだろうからそれなりにはおしゃべりできるだろうし、時間潰しにはなるだろうて。
「………ごきげんよう、久しぶりのパラシュート降下だから着地の仕方を忘れてないことを祈るばかりさ」
「ふぅん、ところで同じような傘にぶら下がっているその箱や筒は人間さんのものかな?」
「あー………そう、それは俺のだよ」
「そっかぁ、人間さんはこれの中に何が入っているかわかる?」
「わからん………」
「へぇ………じゃあそれが本当に人間さんのものだって証明できるの?」
「証明できるさ、まあそれは地面に降りてからじゃないとできないんだが。だからまあ、無事着地できたらそれが本当に俺のものである証明をして見せよう、いいな?」
「………それなら人間さんの言葉を信じるよ、でも嘘だったら承知しないからね?」
さて、目の前のお嬢さんとお喋りをしている俺だが、どうにもお嬢さんはコンテナに興味を示しているようだ。中身はわからないが、少なくとも俺が所属していた
まあ現状コンテナが本当に俺のか疑っているお嬢さんには地上で着地した後に俺のものであると証明するとの約束を取り付ける。少なくとも俺はあのコンテナの開け方を知っているから、それを実際にやってみせればまあ問題はないだろう。
それはそれとして、やっぱり着地するまでに時間はまだかかるだろうからおしゃべりを続けよう。
「信じてくれて助かるよ、ところで一つ聞きたいことがあるんだが………」
「うんうん、何かなぁ?気になることはなんでも聞いてね〜!」
「その君の背中から生えている翼と頭の上の光輪は自前のものなのか?」
「自前だけど、人間さんはもしかして天使を見たことがないの?」
さてさて、目の前のお嬢さんの翼と光輪はどうやら自前な上に天使なようだ。にしても聖書の中くらいにしか存在してないような存在が目の前にいるのか………。でも言われてみればなんか神聖さはちょっとだけ感じるな、ほんのちょっとだけだけど!
「そりゃあもちろんだとも、俺がいたとこじゃあ天使ってのは空想や絵の中の存在でしかなかったもんでな」
「ふんふん、なるほどねぇ。人間さんが居た世界じゃ天使やエルフはいなかったんだ?それから妖精とか獣人とかもいないんだ?」
「ああ、いなかったさ。俺がいたとこじゃあエルフや妖精なんて御伽話の中にしかいなかったし、実際にエルフや妖精を見たことがあるやつなんて絶対にいない。5ドル賭けたっていいぜ!」
「ほほーう、人間さんのいた世界は不思議だねぇ」
目の前の天使だと名乗るお嬢さんは俺のいたところについて興味津々なようで質問してくるので答えていく。俺としても戦場でもないのに一人だけで降下するよりは誰かと話している方が気が楽だし、それにただ待つだけなのは退屈で眠りそうなのもある。
「そうかぁ?何でもかんでも科学で説明できる世界だから、不思議なもんなんておとぎ話や物語に小説の中にしかないぞ。非常につまらん世界さ、とは言っても見どころはまあ何かしらあるかもしれんが」
「ふぅん、そうなんだ?」
「まあ、世の中はそんなもんだろうよ。それじゃあおしゃべりは一旦ここでおしまいにしよう、地面との距離がかなり近くなってるからな」
「はいは〜い!それじゃあまたあとでね!」
取り止めもなくおしゃべりを続けていた俺とお嬢さんだが、とうとう地面が近づいてきたのでおしゃべりを切り上げて着地態勢に移る。幸運なことに風は微風程度なものしか吹いていないので、俺もコンテナも泉の中や森の中に入ってしまうなんてことがないのは幸運だろうな。そうなったら非常に面倒臭いこと極まりない事態になっていたからな、幸運には感謝しておこう。それに泉の周辺はそれなりのスペースがある真っ平らな地面なので着地やコンテナの捜索と回収に際しての問題はないだろう。
とは言っても何もしなければ衝撃を殺しきれず小枝のように足が折れて悲惨な事になりかねないのでパラシュートを操作して減速しながら着地に適したところに向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます