前世魔王な公爵令嬢はのんびりしたい

水月

第1話 今度は公爵令嬢です

この世界は五つの国から成り立っている。

人の王が統治する国が四つと、魔王が統治する国。


かつて日本人だった、相楽七海(私)はアラサーの社会人だった。ある日子供を助けて事故にあい、気がついた時にはこの世界に転生していた。

ちなみに、この世界は所謂乙女ゲームの世界ではない。転生した時にちょっと期待はしたんだけど、どうやらそうではないらしい(残念)

何故そんな事がわかるかと言えば私をこの世界に転生させた女神様から教えて貰ったからだ。

私が死んだのがそもそもイレギュラーだったらしく、お詫びと称して私がずっと憧れてた異世界に転生させてくれたらしい。

そして詳細は省くがあれよあれよと言う間に聖女とされ人生の一生をついやし、その生涯はあっけなく終わりを告げた。


気がつけば次の人生は魔王だった。なぜ聖女の次に魔王に生まれ変わるのか?ある意味笑えないよ?


なまじ聖女の記憶があるから極力人間の住む国に争い事を仕掛けないように統治してたら百年後に弟を崇拝する弟の配下に殺された。魔族は長寿な種族だからきっと今でも弟が魔王として統治してる筈だ。


そして今世。

聖女の時代と同じ、アージェンス王国の第三公爵マルシーネ家の長女ルナ・マルシーネとして生を受けた。極々普通の公爵家だ。今まで波瀾万丈な人生の数々を経験してきたがようやく平穏な人生が待っているのだ。


......多分


ただ問題は記憶だけでなく、その能力も受け継いで転生をしていると言うこと。ただの公爵令嬢に聖女や魔王の能力なんて必要なくない?チート過ぎるでしょ?この魔力がバレたら平穏な生活とは程遠くなるに違いないだろう。


目下の目標はこの国に生まれた者は貴族・平民に関わらず、五歳になると魔力測定をしなければならないのでいかにそこで誤魔化す、かな?


そんな事をツラツラ考えていれば、やはり赤ん坊だからか眠気が襲い気を紛らわせる為に寝返りを打ちながら声を出す。


「あー、うー」

「ふふふっ。ルナちゃん、おねむかしら?」

「寝る子は育つと言うらしいからね」


声を出せば微笑みを浮かべて覗きこんでくる今世のお母様とお父様は凄く優しそうで安心する。今まで家族にはあまり恵まれて来なかったから余計にそう感じるのかもしれない。


そして安心すると余計眠くなるのが赤ん坊の性だろう。



......取り敢えず生まれたばかりなのだし、五年の猶予はあるし、今は赤ん坊を満喫しますか。




こうして日本人・聖女・魔王時代の記憶と能力を持って産まれた公爵令嬢ルナ・マルシーネの人生は始まった。


現在0歳である。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る