第25話 シーグラス

『君の正しさはいつだって俺を傷つける』


今ね 短歌や俳句が はやっているの

でも一文字だって 変えたくはないの

こんなところにまで 帳尻合わせさせないで


いつだって 

あたし

自由でいたいから


危な 『い』 の口で

遠くに逝ってしまった


各停 青白電車 錆びた無人駅


パラソル抱えて 飛び出せ 今だ!

隠れて横断 線路の枕木 

いくらだったっけ 罰金看板

草ボーボーの抜け道は ついに封鎖されたよ


酔っ払って くるくる回るから しがみついた

アロハシャツの肩車 

ほんとめっちゃくちゃいい声 楽しそうに歌う

私の 声フェチを くすぐりまくって


あたしには備蓄米が今や あちこちついてんの 

びっくりでしょ

ビキニは ちょっと厳しいわね 


それでも やっぱり夏は暑くて ビールは苦美味にがうま


トンビは鳴いてて 海は気持ちよくて


イルカになったり 飛び魚になったり


日暮れのカナカナは センチメンタル満ち潮


素麺の緑やピンク ほどけない おまじない


虫の音 蚊取り線香

いつもみたいに 飲んだコルクに日付入れて

流木にワイヤーで吊るして 壁に飾りましょう


薄目あけて まぶたに漂う夜光虫 

体温で 夜露よつゆ 舞い上がる湿度


星座なんかわからないぐらいの 星祭 




今は昔


夏草眺めての朝食は 相変わらず水色の皿でパン

限りあるものだけ 時間に乗って 過ぎてゆく


ボロかったあの家は 

今じゃ建ってるのが奇跡なぐらい ボッロボッロで


それでも 


あなたなしでも


理想郷に

変わらない 夏が またくるの



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夏のフィクションとして書いたこの詩に

恋愛小説としてもっと書き足して、短歌仕立てにしたのが

短歌「夏の理想郷」であります。

https://kakuyomu.jp/works/16817330659649626071

この詩がもとになっています。

両方読んでくださった方はどっちが好きでしたか?


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