マカイロドゥスのまだらに願いを - The Tale of a Tamer; or When She Wishes upon a Great Sabrecat -
1st Case: パンサー・クアドラプル 後半
1st Case: パンサー・クアドラプル 後半
「だれニャおたくら」
ヒト、いや
「えあほんとだ」
「あ━━━━。うんたしかに……」
賢者筆頭に所見を垂れた。
「なんですかその極うす適当リアクション‼ ニャ語尾ですよ⁉ ニャ行変格活用ォオ‼」
「そんなのないで——」
「あります‼ このばか‼」
学校で習っただろうとでも言いたげである。
「⁉」
賢者は一瞬耳を疑ってから当惑の微苦笑を浮かべた。
「こんなの
あまりの興奮に彼女でさえも知りえない類の言葉がその喉を通り抜ける。
「そんなイッキにホメ倒すんじゃニャいわよお。くすぐったいねえ」
「笑ったおカオもかわっ——、勇ましい……‼」
その輝けるほど整った白いギザ歯には実際とても愛嬌があった。
「あたしはメーガン」
しかるやりとりの後、魔獣は名乗る。
「いくつか質問に答えてほしいんだ」
彼女はそう言って頭をひねった。
「ここはどこだ? んであたし今までニャにしてた? おたくらニャにモン?」
壁画のそばへ膝を斜めに折って座したまま
「ここは
「なんかやたらめったらおれを追い回してたわね、そう言やだけど」
「私はストレリチア・オルコットです」
ストウはまず自身のフルネームを明かし、
「こっちはクランリーダーのリリカ・フローラさんで——」
「……おれか」
と彼にも自己紹介を目線で促した。
「じゃあとりまレオンハルトだ」
ただ場に居合わせたに過ぎないのから信用に足る物はなかろうよ、などと彼は思いつつも、その心の音に敵意はないので極めて素直に答えてみせた。
「ふむふむ、……憶えたぞ」
彼女らの話をある程度呑み込んで頷くと、獣人となったばかりの彼女は早々にこの場から新しい身体に戸惑いながら立ち去る。
「そんじゃまたどこかで会おうニャー」
「——ちょっ! ちょっと待ってください‼」
「!」
獣人族が足を止めたら今度はその垂れ耳が一度ぴくりと小刻みに動いた。
(やはり、そうなるか)
ストウが思わずその
「どうかしたかい」
「おふたりともお願いがあります」
彼女は胸に手を握って言う。
「わたしのクランへ……、来てもらえませんか」
「…………」
沈黙が流れると、レオンハルトは空気感に耐えかねて口を開いた。
「おれのほうは別にぜんぜんかまわないわよ。生活困ってるし」
そこへ、食い気味にメーガンが返答する。
「あたしゃそんニャのニャー興味ニャい」
声は凜々しくもどこか上擦っていた。
「のほほんと規則正しい暮らしができりゃそれがしあわせさ」
この隙にとストウが何か
「いえ」
と首を横に振ると無詠唱で移動呪文を発動、彼女の真正面へ。
「あなたには来てもらわねば、メーガン」
「……いつの間に⁉」
「さあさあ」
「ニャにそれ」
「極秘事項です♡」
「放せよっ! チカラが抜けてく‼」
話し合いの後、ふたりはレオンハルトとリリカのもとへ戻った。
「どうやら来てもらえるそうですよー」
「……オイオイ」
何か悪どい気がするぞ——、と話し合いの結果を報告するストウへ目を配るレオンハルト。そして当のリリカは目を
「ほんとうですかっ‼」
「まあ嫌ってわけでもニャし」
「じゃあ、クラン名とかどうするよ?」
結社にあたってその命名を彼は訊ねた。
「パっパンサーはかかせませんよねっ‼」
「彼女きっかけの結成ですもんね」
リリカが興奮ぎみにみなへ問いかけるとストウは首肯を返す。
「パンサーな四人組だから、えっと
レオンハルトは提案するとともに訊ねた。
「
「おっ、いいんでない?」
後ろ頭へ腕をやって彼は笑いかける。
「さあさあー。そうと決まれば初任務ですよ」
「きみずいぶん忙しなかったけど、そういうことだったのね」
「フフっ、ご明察です。さあレオンさんにメーガンさん」
遂にその時が来たかと
「武器を取って」
ストウが指差したほうにある支給品へふたりは手を伸ばす。
「どんニャ任務ニャのさ」
武器と防具類を見つくろいながらにメーガンは彼女から任務内容を聞き出す。
「最近ここら周辺に現れたひとつ目魔獣の討伐です。『強いからムリは禁物』という
「わかった」
その詳細とメーガンの潔い了解を聞いたレオンハルトはあのとことんまで彼のことを追跡してきた
「行きましょう‼」
彼らはその胸へ期待をかけ、ときの声を上げる。——これは翼を持たぬ彼らが、
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