第141話 お日様の力

 池を作った、翌日よくじつ


 池の様子を見に行くと、昨日は茶色くにごっていた水が、今日は綺麗きれいき通っていた。


 よし、これなら飲めそうだ。


 さっそく飲んでみると、太陽光であっためられたおかげで、冷たくなかった。


 お日様ひさまの力って、スゴイ!


 ずっと、川から新しい水が流れ続け、古い水は排水路はいすいろから出て行くから、いつでも新鮮しんせんな水を飲むことが出来る。


 あとは、猫達がこの水を飲んでくれるかだ。


「ミャ!」


 皆さん、新しい水飲み場が出来ました! 飲みに来て下さいっ!


 ぼくが呼びかけると、集落しゅうらくの猫達が集まって来る。


「昨日は飲んじゃダメって言ってたけど、今日は飲めるニャオ?」


「ミャ」


 水路すいろと池の土が落ちいて、水が綺麗きれいになったので、今日から飲めますよ。


「やったニャニャ! やっとお水が飲めるニャニャッ!」


「待ってたニャ~ン!」


 のどかわいていたのか、猫達は池の水を飲み始める。


「ニャニャッ? お水が、冷たくないニャニャ!」


「これなら、ぽんぽんおなかがぺいんぺいんいたいいたいにならないニャオッ!」


「仔猫のお医者さん、ありがとニャ~ンッ!」


 猫達が喜んで、水を飲んでくれている。


 これで、ひと安心。


 これで、脱水症状だっすいしょうじょうも、下部尿路疾患かぶにょうろしっかんも、冷たい水によるぽんぽんおなかがぺいんぺいんいたいいたいも、予防出来るぞ。


 あとは、すでに下部尿路疾患かぶにょうろしっかんになっている猫達に、カモミールの薬を飲ませるだけだ。



 その後、この周辺しゅうへんえている薬草の見分け方や、薬の作り方を教えた。


 前に、この集落しゅうらくおとずれた時は、キランソウしか教えなかったからな。


 ひと通り教え終えたところで、集落しゅうらくおさ感激かんげきした様子で、ガバッと抱きいてくる。


「やっぱり、君は、この集落しゅうらく救世主きゅうせいしゅナォ! 君はずっとここにいて、我々を助けるナォッ! もう、絶対、離さないナォッ!」


 モノスゴい強い力で抱きめられて、めちゃくちゃ痛くて苦しい。


「ミャーッ!」


 ぼくは救世主きゅうせいしゅなんかじゃありません、お医者さんですっ!


 すると、お父さんがすぐに、集落しゅうらくおさを取り押さえて、お母さんがぼくを抱っこして助けてくれた。


「シロちゃんを、はなすニャーッ! こんな集落しゅうらくには、もう二度と来ないニャーッ!」


「シロちゃん、早くイチモツの集落しゅうらくへ帰るニャッ!」


 お父さんとお母さんは、めちゃくちゃ怒って、ぼくの首根くびねっこをくわえて、集落しゅうらくから飛び出して行った。


 集落しゅうらくの猫達は、走り去って行くぼく達を、未練みれんがましい(あきらめきれない)顔で、いつまでも見つめていた。

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