ふたっ風呂め
第10話 都市伝説のメリーさん、相乗りされる。
「こんこんこんばんコックリさーん! コックリさん系配信者の
「うわホントに来た!」
「コックリふざけるななのなんであなたがついてくるのヌクトはあたしの友達なのコックリは部外者なの」
メリーさんからの電話がかかったきた瞬間、背後にざぶんと飛び込む音がして、振り返るとコックリさんがいた。
メリーさんはコックリさんにしがみついて、頭をぽかぽか叩いていた。
コックリさん、配信と同じ格好だな。狐耳にセーラー服のギャルっぽい感じ。メリーさんと違って人間サイズだから狭い。
あとコックリさんも服は脱がずに入るんだね?
「いやー最近メリメリがホントに楽しそうだからさー、あーしも一緒に遊びたいって思うじゃんねー!
ネット配信はできても実体持って人と遊ぶのはあーしの都市伝説パワーじゃ難しいし、メリメリの電話回線に相乗りしてようやくこーやってリアルに実体持てたじゃんねー!」
「電話回線越しなんだ」
「ふざけんじゃないの勝手に相乗りしてあたしの回線食いつぶしてんじゃないの」
「いいじゃーんメリメリー減るもんじゃないじゃんねー!」
「ガッツリ減ってるの。ギガが」
「ギガなんだ」
「とゆーわけでーよろしくじゃんねーぬっくんー!」
「ぬっくん」
「ふざけんじゃないの何いきなりあだ名で読んでるのあたしがヌクトの名前聞くまでどれだけかかったと思ってるの」
「えーいいじゃーん、ぬっくんって読んだ方がかわいいじゃんねー?
あだ名くらいでやきもちやいちゃうなんて、メリメリぬっくんのこと大好きかー?」
「だいすっ……ふざけんじゃないの」
「目にシャンプーじゃんねー!?」
「カオスが過ぎる」
メリーさん普段は静かな方だから、二人きりだとここまで騒がしくならないもんね。
コックリさん一人加わっただけで、いつもの十倍くらいにぎやかな気がする。
「とにかくさーせっかく遊びに来たんだし、みんなで遊ぶじゃんねー!
何して遊ぶじゃんね? 一人かくれんぼ?」
「みんなの意味」
「それともこれだけ人数いたら、コックリさんも呼べるじゃんね?」
「ご本人では」
「あとはねーあとはねー、遊びのアイデア……はー……(カクカク)」
「なんか動きがカクカクしだした」
「ギガを食い尽くされたの……通信速度制限なの」
「通信速度制限」
メリーさん、スマホを確認して露骨にしょんぼりしてる。まあ気持ちは分かるよ。
それにしてもコックリさん、完全に固まっちゃったな。
湯船で笑顔で着衣のまま固まる狐耳JK(の格好した都市伝説)。なんだろうこの絵面。
「メリーさん、この状態のコックリさんって、こっちのこと見えたり聞こえたりしてるの?」
「知らないの。ギガを
「そっかー」
コックリさんを観察してみる。ホント動かないな。
「これ、動かないのをいいことにちょっとイタズラしてみたくなるね」
「…………」
あれ? メリーさん無言?
今の感じだったら、メリーさん嬉々としてコックリさんにイタズラするかと思ったんだけど。
「ヌクト……その『イタズラ』って、もしかしなくてもエッチな意味で言ってるんじゃないの……」
「え? は? いやいや、僕そんな意図で言っては、ちょっとメリーさん、マジギレしてない!?」
メリーさんは人形の無表情のまま、ゴゴゴゴゴという効果音が聞こえてきそうなほどの怒りの形相でこっちを見ている。
待って待って、メリーさんから見た僕ってそういうキャラ?
この状態のコックリさんにエッチなイタズラしそうな人間だと思われてるの?
「そりゃコックリはかわいいし胸もあるの。配信用のそういうアバターだから当然のようにかわいいの。
けれどあたしというものがありながら、いやあたしはただの友達だしそれ以上の他意はないし他の女に目移りするのを止める権利なんて毛ほどもないのは重々承知なの、でもこれだけずっと何度も一緒にお風呂に入ったりしてそれなりに特別な関係だと認めてやらなくもなかったのにたった一回コックリとナマで遭遇しただけでそっちに目移りしちゃうとか男として最悪なのいや別にあたしが男として意識してたとかそんなことはこれっぽっちもないのでもだとしても」
「ちょ、待った待ったメリーさん!? 一人で勝手に深読みして勝手に誤解して怒らないで!?
背中に真っ黒な炎が上がってそうなくらいオーラがやばいよ!?」
「問答無用なの。おしおきなの」
「目にシャンプーがーッ!?」
目の泡を洗い流している間に、メリーさんはいなくなっていた。あとコックリさんも。
「……僕ってそんなにエッチな人間だと思われてるの?
僕、別にメリーさんのことエッチな目で見てたりは……」
たまたまセクハラっぽい言動になっちゃうことがあるだけで、メリーさんのことそういう目で見たわけじゃないんだけどなー。
コックリさんも……うーん……コックリさんは普通に人間大だし、正体はともかく見た目も人間らしいし、かわいいし、それが自宅のお風呂で服着たままびしょ濡れになってたら……
「まあ……エッチな目で見れないこともないか……」
「やっぱりド変態なの最低なの
「ごめんて!! 目にシャンプーがーッ!?」
——————
・作者より
こえけん音声化コンテストの規定文字数に収めるため、一度更新を中断します。
コンテスト応募期間中は「ラブラブ⭐︎バカップル転生無双!」など別の作品を更新していますので、気長にお付き合いいただければと思います。
たくさんの応援をいただき、ありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます