前世で社長の俺が異世界に転生した件について

@DAISHI0526

第1話 転生


とうとうこの時が来てしまった。俺は意識が薄れて行く中でゲーム画面を眺めていた。


俺の両親は小さい頃に交通事故で亡くなったと聞いた。孤児院を卒業して、頑張って働いた。そして、28歳で自身の会社を持った。会社は順調に成長していき、あっという間に大きくなった。正に勝ち組だった。ただ人生は残酷なもので、俺は大病を患い医者に余命を宣告された。


会社は長年共に頑張って来た親友に譲り、俺は病院へ入院した。引継ぎに時間がかかったせいか、入院したころには満足に身体を動かせなくなっていた。そんな時に出会ったのが〈Last Legend Fantasy MMO〉だった。フルダイブ型の最新機種で今までゲームに興味が無かった俺がどっぷりとはまってしまった。だって、ゲームの中だと身体が自由に動くし、苦しく無いのでハマるのもしょうがないだろう。VIPの病室で数年間、有り余る金で課金しまくり、いつの間にか最前線を突っ走っていた。


でも、そんな楽しい時間もついに終わりが来た。そう・・・自身の死期を感じてしまった。


御世話になった方達にゲーム内で挨拶を済ませ、最後の目標だった裏BOSS〈邪神ヘルドトス単騎撃破〉に挑んだ。未だに誰も成し遂げられていないミッション。俺は最後に華を咲かせる為に全てをかけて挑んだ・・・


【ーーミッションクリア。報酬を選んで下さい。】


【1.強くてニューゲーム(クリア特典あり)】


【2.転生(転生ポイント増量)】


【ーー選択して下さい】


クリア特典は気になるけど、強くてニューゲームする力は残っていない。


本当に転生出来るなら・・・・・・


ハハハ、転生ポイント多すぎだろ! 


ゲーム内のマネー、アイテム、装備品などをすべて転生ポイントに変換してキャラメイクしてみよう。


ポイントが多すぎてポイントをふるのに時間がかかってしまった。フフ、こんなキャラで転生したらチートだな。


そろそろか、現実に引き戻される・・・


ーーそうして俺は息を引き取った。



そして・・・



アルトメニア王国グリミナル辺境伯三男ライル・グリミナルへと転生した。


初めは戸惑い混乱したものだが、今は優しい家族に囲まれて第二の人生を楽しんでいる。


《転生》


前世での最後の記憶を思い出した。あれはゲームの中での話しだと思うのだがここまで似るものなのか?


死の間際に転生ポイントを使用してのキャラデザインにそっくりなのだ。まぁ、今はまだ子供でキャラデザインした姿よりは幼いんだけど。でもなぁ・・・


転生先もポイントを使ってオススメ欄から選んだ気がする。何だっけ? 勇者、魔王、王子とか並んである中で・・そうだ! 辺境の天才学者〈オススメ〉を選んだ。あの時、勇者とか魔王とか面倒くさいと思ったんだよな。


どうりで言葉も文字もすんなり覚えられたわけだ。文字を覚えたので屋敷の書斎にある本で知識も得た。


アルトメニア王国はユーテリスト大陸にある大国である。東は海に西はグラニオン獣王国、北はテリザリア帝国、南は魔の森に囲まれている。


そしてグリミナル辺境伯領は南の魔の森に対する防波堤であり、アルトメニア王国内で一番危険な領地とされている。先代辺境伯は十年前に起こったスタンビートで亡くなったらしい。長男だった父は王都で騎士を勤めていたようだけど、辞めて領地を継いだようだ。


俺の家族構成はこうなっている。


父コーエン・グリミナル(24歳)、母リリィ・グリミナル(24歳)、長男コーラル・グリミナル(8歳)、長女リリシア・グリミナル(7歳)、次男グレイブ・グリミナル(6歳)、三男ライル・グリミナル(5歳)


両親が若すぎる。前世の俺より若いのに、この広大なグリミナル領を任される何て酷過ぎる。それに父のコーエンはハッキリ言って領地経営に向かない。剣を持たせたらアルトメニア王国内で右に出る者はいないらしく、王都では〈剣鬼〉と人気であるのだが、どちらかと言うと脳筋だ。努力しているようだけど、上手くいっていないのが現状である。


母は母で元宮廷魔法師だったらしく、領地経営より魔法が好きなようだ。なので母も魔法で領地の為にと色々活動しているのだけど成果があげられていない。


長男のコーラルが次期辺境伯になる事は決まっている。そのコーラルは今年から王都にある学校に通う為に勉強中なのだが、コーラルも父親似で脳筋タイプらしく勉強が苦手のようだ。


長女のリリシアは魔法適性が高く、既に王都の魔法学校から推薦が届くくらいに優秀で、家では母と魔法の研究を良くしている。


次男のグレイブはグリミナル領の次期騎士団長になる。再来年から騎士学校に通う事が決まっている。今では領軍の訓練に参加して剣を振るっている。


そして俺は自由だよ。その代わり、成人したら家を出ることになる。俺としては貴族に魅力を感じて無いから正直言って有難い。その為に生まれて直ぐに行動を開始した。まぁ、寝てる時間が多くて暇だったともいう。


5歳までは身体ができていないので、魔法を中心に頑張った。直ぐに魔力の存在は認識出来た。そして、魔力を動かし放出する事も出来た。


それを約5年間ひたすらに続けた。多分、転生ポイントで取ったあの効果が作用しているのだろう。俺は魔法の成長は早かった。


《転生特典》

【魔法の才覚】【全魔法属性S


けっこう課金したから、激レアアイテムとか装備もポイントに変換したからポイントが多かったんだよな。だからそれを消費しないと勿体ないと思って色々詰め込んだんだよ。俺も内容は良く覚えていないんだよな。

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