とある作家は歳を取らない。

人でないと大衆はそう思い込んでいる。

僕はそうは思わない。

その作家は天才、逸材、強者だと僕は思っている。


僕の美大の予備校の恩師がそうだ。

僕が美大に行きたいと言ったら

母が亡き友人が通っていた予備校を紹介してくれた。


その予備校は母が高校生の時からあり

恩師はその時点で70歳はとうに越していただろう。

僕にはそうには見えなかった。


美魔女、魔性の女という俗語には当てはまらない。

女性でありながら身長は180くらいはあったろう。

ラプンツェルのような長い髪、美しいグレイヘアだった。


本業は翻訳家でイギリスによく行き来してるので有名だった。

発想も考えも逸脱した人だった、いきなりアヘン戦争を描くと言い

なんの変哲もない白いカーテンに3色マーカーでそれを描いた。

教科書に載っているあの絵を何も見ないで同じものを描く不思議な人だった。


他にも色々、、、甘いものは果物しか食べない。

ハチミツはキャベツの花から取れたものしか食べない。

かなりの凝り性で僕がお世話になった礼で作った菓子は食べてもらえず

他の生徒の腹の中へ入っていった。


恩師は幼少期、宿泊学習や修学旅行、、、、

センター試験は一切行かない、拒んだと同じ塾の講師の恩師の妹さんが言った。

当時のセンター試験は強制ではなかったらしい。

恩師は今のセンター試験の制度によく文句を言っていたのをよく覚えている。


話は戻るが、作家と恩師には共通点があった。

歳を取らないのと絵を描く際「下書き通りに描かない。」ということ。

僕はその教えを使って今も描いている。


でも、恩師にとってのお気に入りは僕じゃない。

一緒に通ってた僕の妹だ。「シェリーちゃん」なんて愛称ついてったけ?

3色くらいの緑色の紙で包んだキャベツの花のハチミツの瓶をもらい

すごく喜んでいたという


恩師の頭には僕はもういないだろう。

それでも僕はあなたに会えてよかったと思っている。

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