第21話 謎の少女との出会い



「誰だったんだろうね。中山君の事知ってそうな感じだったけど。」



「見覚えはないですね。それにこっちに知り合いも居ませんし。」



「中山君のファンかもね♡ 」



「それはないと思いますけど...」



「中山君なら有り得るかも...」


「橘さんまで言うんですか... とりあえず

受付済ませちゃいましょ。」


僕達は受付を済まし、待っていると夏菜子さんが駐車場から戻ってきた。


「おまたせ。もう受付は済んだでしょ。荷物は一旦ここに預けるといいわ。食事の準備は出来てるから案内するわね。」



「やったぁー!何が食べれるかなー!沖縄って何が有名なの?! 」


「さぁ... 僕もよく分かりません...」


「とりあえず行こっか...」


部屋に案内されると既に食事が用意されていた。 豪華な料理が並んでいて少しテンションが上がった。


「すごーい! お肉に刺身、ラーメンみたいなのもあるよ!」



「ふふっ 食べ盛りの高校生達だからいっぱい用意したわ。それはソーキそばって言うのよ。」



「聞いた事はありますけど、初めて食べます...!」


橘さんもテンションが上がってるみたいだ。

みんなお腹空いてたもんな。


「こんなに用意して貰っていいんですか?」



「いいのよ。美咲には施設の宣伝とかやって貰ってるからこれくらい全然平気よ。」



「そうですか。ありがとうございます。」



「ちょっと待ってね。もう1人ここに来てる子が居てね。その子も呼んでくるわ。」


言われてみたら1つ空いてる席にも食事が用意されていた。




「さぁ入って!たまには大勢で食事するのもいいわよ。」


夏菜子さんに連れてこられたのはさっきの

少女だった。



「...こんばんは。」



「きゃー!近くで見ると可愛いね♡ 名前は?♡」



「...芹那です」



「この子私の姪っ子でね。夏休みの時はここに遊びに来るのよ。」



「そうなんですか! よろしくね芹那ちゃん! 私達eスポーツ部の合宿で来てるのよ!」



「...eスポーツ?」



「そう! みんな格闘ゲームの大会に出る為に夏菜子さんのeスポーツ施設で練習してたの!」



「...」


随分と大人しい子だな。まぁ西蓮先輩がグイグイ行く性格だから困ってるんだろうけど。



「じゃあみんな揃ったから食べましょうか。遠慮せずに食べてね。」



「はーい! いただきますー!」


僕もこんなに大勢で食事するのも久々だな。

たまにはこういうのも悪くない。


そして意外にも橘さんはよく食べるみたいだ。




「ふぅー!ご馳走様でした! とても美味しかったです! 特にソーキそばが!」



「それはどうも。それじゃあ片付けるからみんなゆっくりしてて。」



「あ、私も手伝いますよ!」


「私も手伝います...」


「僕も手伝います。」



「あら、優しいのね。ありがとう。でも2人が来てくれたらいいわ。中山君はみんなの荷物部屋に運んでちょうだい。」



「わかりました。」


受付で荷物を貰い部屋へと持っていった。



「...ここか。」


僕らが泊まる部屋は大きい部屋だったが1部屋だけだった。 一応男女だから同じ部屋で寝るのは少し気が引けるんだが...


「でも仕切りの襖もあるし、まぁいいか。

てか、部屋にもPCがある。ここでも格ゲーが出来るようにしてくれたんだ。でも今日はみんなすぐ寝るだろうな。」



荷物を置き終わると西蓮先輩達が帰ってきた。


「やほー! 片付け終わったよー!ここが私達の部屋ですか! すご!PCもあるじゃん!」




「お疲れ様です。僕は風呂に入って寝ようかなと思います。」



「私達もお風呂行こー! 中山君覗いちゃダメだよ♡」



「そんな事しないですよ。僕は...」



「格ゲー以外興味ないでしょ! ちょっとくらい覗こうとしなさいよ! こんなナイスバディなみくちゃんも居るんだよ!」



「ちょ... かなちゃん... 変なとこ触らないで...」



男の本能でここは危険だと思い足速に僕は

風呂に向かった。




「ふぅー。それにしても今日は疲れたなぁ。でも明日もこんな感じでいっぱい対戦できるといいな。」




「ぷはー! めちゃくちゃいい湯ですなー!」


「確かに気持ちがいいね。久々にあんなに対戦して少し疲れちゃった。」



結構声が聞こえてくるんだな...

静かにしておこう。




「それにしても裕太さんめちゃくちゃ強かったね! 初めて対戦したけどレベルが違うって感じがしたよ!」



「確かに強かったね。世界のトッププレイヤーって凄いんだなぁ。」


「そういえばかなちゃん中山君が裕太さんと対戦してる時何か感じなかった?」



「中山君との対戦中? 急に強くなったなぁとは思ったりはしたけど。」



「そっかぁ。一瞬恐怖感?みたいなのを感じたんだよね...」



「確かにあの強さはある種恐怖だわ。」



(橘さんも感じてたんだ... あの時の父さんの

殺気みたいな感じ...)



「そ!れ!よ!り! みくー またあんた成長したんじゃないの!」



「...だから 変なとこ触らないでって...」



「あーあ! 私もこんなに成長したいなぁ!」



(... うん。 もう出よう...)




「はぁ... 落ち着いて風呂にも入れなかったなぁ... って君は...」



部屋の前に芹那さんが居た。何か用かな



「こんばんは。芹那さん。何かあったんですか?」



「...あなた達が出る格闘ゲームの大会って

eスポーツ甲子園かしら。」



「うん? あぁ そうだね。」


「大将は誰?」


「えーっと一応僕だけど... それがどうしたの。」


「今から私と対戦して。」


唐突に対戦を申し込まれた。もしかして格ゲーが好きな子なのかな。 でも中学1年生くらいだからまだ初心者だよな。



「まぁいいけど...」


「じゃああなたの部屋でやりましょ。コントローラー取ってくる。」



芹那さんはすぐに立ち去りコントローラーを取りに行った。 でもわざわざ今からやらなくてもいいと思うけどな...



「おまたせ。じゃあ早速対戦お願いするわね。」



「あ、お願いします。」


この子年下だよな... ちょっと雰囲気が怖いんだけど...


使うキャラは... 中々珍しいキャラを使うなぁ

初心者向けのキャラでは無いけど。


「ステージはどこでもいいわ。好きなの選んでちょうだい。」



「僕もどこでもいいんで、ランダムにするね。」



謎の少女、芹那さんとの対戦が始まった。



(うーん。やっぱり対戦してても初心者って感じだな。)



(ちょっと手加減した方がいいのかな...でもそれはそれで失礼だよな...)



「...本気でやって。」



「...わかった。」



(このまま勝っちゃうか... これも初心者の為を思って...)



「...この程度なのね」



「いや...って...は?」


(なんだ...急に動きが変わったぞ...初心者じゃないのか?)



「これで終わりね。」


この子の攻めに圧倒され、あっという間に逆転負けしてしまった。


なんなんだこの子...



「それじゃあね格ゲーの王子様。本戦で会えるといいわね。」



「えっ 本戦って...」



「済美高校3年eスポーツ部、白石芹那。

あなたと同じチームの大将よ。」




この子がeスポーツ甲子園出場者なのか...

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