第8話 マナトside 頼れる味方
まず彼女の先輩や上司にあたる人物で飲み歩くのが好きな男に上手く近付きプライベートで遊べる仲になり、彼女と自然に知り合う機会を伺う。
俺が選んだ男は平井直樹。人懐っこい性格で少しチャラ男っぽいが、容姿も整っていて面倒見の良い男だ。
彼女が務める会社の下で平井と待ち合わせをした時、平井と彼女はエントランスを出た所で挨拶をして別れていた。
よし!よくやった!平井!この時を待っていた!
「須藤くんお待たせ〜」
「平井さん!今の!今の女性ですが!」
「ん?何?今の女性?」
「楠木さん!楠木詩杏さんではありませんか?昔会った事があるんです。
僕がまだ学生だった頃、旅行で来て1日別行動の日、ホテルに財布を忘れたんです。
地図アプリが起動したまま携帯の充電がなくなって、お腹も空いてて電車も乗れないし…」
「わー。それは焦るね…」
「そしたら彼女が声を掛けて下さったんです。
俺が携帯の充電がなくなってしまった事、財布が見当たらない事を伝えたら、モバイルバッテリーを貸してくれて「お腹は空いてませんか?」ってオシャレなレストランで好きな物どうぞ!ってご馳走して下さって、充電が100%になるまで一緒に居て下さったんです!
お礼がしたいって言ったんですけど、困った時はお互い様だからって…ホントずっと会いたかったんです!」
「あー。そりゃ惚れるわー。ってか、楠木ちゃんらしー」
「実は就職でこっちに勤務地希望出したのも楠木さんと出会った地で働きたいからだったんです。もう会えないと思ってました。
彼女の人間性も空気感も全部大好きで!あの可愛い笑顔をずっと見てたい。
めちゃめちゃに甘やかしてあげたい。
平井さんお願いします!彼女との仲を取り持って下さい!」
「んー…」
平井さんはしばらく考えて
「………うん。須藤くんなら大丈夫そうだな。喜んで協力しよう。
あ、ライバルとも言えないけど楠木ちゃん狙ってるヤツ結構多いんだよね。本人全く気付いてないけど」
と言ってくれた。
くそっ!ライバルいるのは分かってたけど、詩杏は俺のだ!見るな減る!
「ホントですか!平井さん!頼りにしてます!」
人好きのする顔で無邪気そうに笑っておいた。
「おぅ!任せろーい!
いやね?楠木ちゃんさぁ何でか毒吐きホイホイでさぁ、楠木ちゃんの事を好きなヤツ程わざわざ辛辣な事言うんだよー。
バカばっかり…。そんな言葉投げつけて女の子が傷付くのが分からないだろうかと。
飲み会とかイベントとかも全く参加しなくなっちゃったしさ。
俺が毒吐かれ現場に出くわしたらすぐ救出するようにはしてるんだけどね」
…なんだと?全員ぶち殺してやる
「…っおいっ!こえーよ!俺は救出班だって!
楠木ちゃん人当たり良いし仕事もきっちりやるし、困ってるヤツがいたら察知してさりげなくフォローするから皆んなから好かれてるんだよ。
それが恋愛感情になると途端にマウント取って意地悪言い出すんだ。
例えば、胸をチラチラ見ながら、また太った?とか本気のアホだとしか」
はっ?…胸を見ただと?ボールペンをぶっ刺して目ん玉えぐり出して、二度とバカな口がきけないように舌を切り取ってぐしゃぐしゃに口を縫い付けてやる
こんなクソみたいな所早く辞めさせないと
俺に…俺に触手があったら穴という穴に触手を突っ込んで内側から引き裂いてやるのに…俺はなんて無力なんだ。
「いや…あの…ホント怖いから…俺を含めほとんどのヤツは楠木ちゃんの救出班だから安心して!ほら!そんな顔すんなって」
「…はい」
やっぱり違う会社に入ったのは失敗だったか。
彼女と同じ会社に入って、ささっと会社を乗っ取り、彼女の害になるヤツや彼女の手を煩わせるヤツは殺せば、いや切り捨てれば良かったんだ。
「ははっ。。とりあえず、今日は作戦練ろうぜー!
あの子はちょっとやそっと…と言うか普通の出会い方じゃ落ちないと思うよ。
洗脳と刷り込みを解いてやらないとな。」
「洗脳と刷り込みですか?」
「うん。あれはきっと、ずっと容姿や能力を否定されて劣等感やなんかを刷り込まれて育ってるね。
俺色んな子見てきたから分かるんだよね。
楠木ちゃんっていつもニコニコしてて嫌な事言われても笑って受け流してるけど、結構闇が深いと思うよ。
マジで深淵にいると思うわー。
それこそ救い出せるか分からないくらいね。
だいぶ前に話した時に、親は頻繁にお米とか小さい頃から大好きなお菓子を送って来てくれるから有難いけど、太るから困るって仲良さそうだったから、虐待とかではないはず。
とりあえず、移動しよーぜ!今日はカラオケボックス行こー。誰かに聞かれたら面倒だし」
「はい。そうですね」
俺のシアンを否定して傷つけたヤツ誰だよ。
どうやって殺そうか。まず汚れてもいいボールペンを買わないとな。
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