お持ち帰りした超絶イケメンはスーパーハイスペックストーカーだった話

ミズカミ ショウ

第1話 疲れている時に空腹だと昔の嫌な事を思い出して負のエネルギーが世界を取巻きどうたらこうたらする。知らんけど。




 明日から三連休。私は先週の代休と有給を使ったから5連休。


 私は楠木詩杏くすのきしあん 23歳 入社3年目 趣味はオブジェ作り オタク 脳内は騒がしめ(控えめに言って爆音)  


 心置きなく連休を過ごす為、後輩の仕事を手伝う事にした。


 出来上がった書類を一緒にチェックし、今回の工程で気になった事や短縮出来る作業などの改良点を伝える。



 いつもより少し早い時間ではあるが、ダラダラ帰る支度をしていたら、外出中の平井さんから電話でとんでもない仕事を手伝って欲しいとお願いされ、結局作業部屋に1人残業になった。


 資料にまみれながら高速でデータを打ち込んでいると、平井さんが戻って来てくれて2人で取り掛かった。


 気付けば終電の時間が近付いている。まだまだ終わらなさそう。進捗的にまだ半分と少し進んだ辺り。


「楠木ちゃん助かったよー。ホントありがとねー。

 後は俺1人で大丈夫!終電で帰って!」


 え解放?でも…。


「後は大丈夫ってまだ半分くらいはありますよ?2人でやれば明日の朝帰られるでしょうし、一緒にやりますよ」


「あ、それは怒られる」


「ん?怒らないですよ」


「あ、いや。…まぁいいからいいから。ホントに助かったし、まだ終電間に合うでしょ?」


「はぁ…間に合いますが…。分かりました。じゃあ、お言葉に甘えて。お先に失礼しますね」



 急いで帰りの支度をしようと自分のデスクに戻ると日持ちしなさそうな高級な和菓子様や洋菓子様がいっぱいいらっしゃった。


 うおーっ!誰か分からないけど、急に残業になった私を慰めようと恵んで下さったのね。

 うーむ。連休明けにお礼言わなきゃ。



 時間がなくてお菓子様達を丁寧に鞄に放り込んだ。(丁寧とは)

 鞄が閉まらないじゃないかっ!



 駅まで猛烈に走った。スマホの時間をチェックする。


 後20秒で電車出るー!



 ホームに駆け込んだタイミングで丁度電車が入る。


 よっしゃー!間に合ったでぇ!


 息を整えながら列に並ぶ。



 そだそだ、心配してるかもしれないから、平井さんにメールしとこ。


『お疲れ様です。


 中途半端で帰ってすみません。

終電乗れました_(›´ω`‹ 」∠)_

 

明日の朝行きましょうか?』



 最終電車は少し混む。

 それでも座席に座れた。


 座れてよかったぁ。

久しぶりに爆走したから足が溶けそう。




 お気に入りの入浴剤を入れてゆっくり湯船に浸かりたい。


 この溶けそうな足をゆっくり揉みほぐしたらさぞ気持ち良いだろう。


 

 いや、帰ったら頭からさっくりシャンプー。トリートメントだけはしておくか。まぁシャワーだけで終わらせる。(およそ8分)


 作り置きの冷凍ハンバーグを解凍して、トマト缶にコンソメ入れて、レンジで作る温玉と、あ!明日は休みだから、にんにくをみじん切りにしてソースに入れよう。



 あー。ご飯の想像したら2兆倍お腹空いた。トホホ



HPは残り2(最大5)


 私よわっ。




窓の景色を見ながらボーッとする。


 ずっとお出掛けしてないなー。

 もうすぐ紅葉の季節だし久しぶりにどっか行こうかな。



 短大を卒業して入社したての頃は僅かな時間でもあれば学生時代の友人と遊んだ。


 日帰りでスノーボードに行ったり、お昼ご飯に海鮮を食べる為だけに他県へ行ったりしていた。


 お互い仕事も忙しくなってだんだん疎遠になってしまった事もあって、休みの日に出掛けるのは必要な物や食材を買う為だけ。


 3歳上のお兄ちゃんはたまに様子を見に来てくれるけど、電車で1時間半程の郊外にある実家には、ここ1年ちょい帰っていない。


 実家のお隣りさんのお姉ちゃんが結婚して子どもができた。


 それを境に帰って来て結婚しろだの幼馴染みのコウちゃんとかヒロくんはどうなの。とせっつかれて、せっかく都会に出て来たのに、就職して1年ちょっとでのどか過ぎる地元に帰って結婚は嫌だ。


 幼馴染みはどう。っていやいやコウちゃんもヒロくんも昔から私の事めっちゃ嫌いじゃん。


 顔見たらブスデブ。笑うな煩いって言うし、まぁブスで騒がしい私が悪いんだろうけど、心で思っても口に出さなくていいと思う。


 彼らとは家族ぐるみの付き合いで常に一緒に居たからサンドバッグの様に意地悪を言われて泣かされた記憶しかない。


 冗談ででも意地悪言う人はホントに苦手だ。


 何故か私の周りには意地悪を言って傷付けてくる人が多い。


 私もお腹の中で色々思うけど、思ってても言わないんだから、あなたも言わないでよ。と思う。


 そんな心根だから意地悪言う人が寄ってくるのかもしれない。ヘラっと笑うだけで言い返さないから皆んな余計につけ上がるんだろう。


 特に男の人は、普通に接してくれていた人でも、何かの拍子に意地悪を言い出す事が多い。怒らせる様な事はしてないと思うけど原因は分からない。


 いつからか面倒だから人付き合いをしなくなった。


 1人で居るのも慣れたけどやっぱ寂しい。

ペット飼いたいなぁ。癒されたい。やっぱペット飼うならネコ様か・・・。

 あぁ癒しが欲しい。


 などとつらつら想いを馳せていると最寄駅に電車が着いた。

 

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