Impact
氏氏
action
1
2年前だった。
ほとんどの人からしたらどうでもいい、一家の変化。
一つの家族が崩壊した。
14歳の春、いつも通り8:30から始まる部活に行って、12時過ぎに腹ペコの状態で家に帰ってくる。
昼ごはんの後は家でダラダラするなり、友達と遊びに行くなりするのだが、この日は少し違った。
両親が2人とも休みだったのだ。
昼からは家族で出掛ける。
ありふれた、仲睦まじい家族の休日。その本番が午後から始まる。
どこに行くのだろう、何を買ってもらおう、何を食べよう。
不確定な未来に向けて色々考え、いくつか候補を挙げていたのだが、
ただいまという言葉と共に開けたドアが、そんな生ぬるい考えを全て吹き飛ばした。
何かがおかしい。
自惚れた考えだが、いつもなら誰かがおかえりと言ってくれるはずだ。
しかしそれは誰かいたらの話。誰かいたとしてもその人が生きていたらの話だ。
両親は死んでいた。
驚き、人生最大の衝撃が全身を駆け巡る。
悲しみと怒りと焦りと不安と後悔と...
次から次に溢れ出てくる感情達が心をぐちゃぐちゃに荒らしていた。
どの感情が引き金なのかも分からない涙が溢れた。
「ぁあ...え...」
考え、行動する。
そんな高難度な事など勿論出来なかった。
溢れ出る感情達に体がキャパオーバーだったのか、突然意識が飛んだ。
家族の死、それは心に人生最大の衝撃を与え、その衝撃は大量の感情を発生させ、飽和寸前になったところでそれらの感情を強引に沈めた...いや打ちのめした。
再び意識が戻った頃には俺は若くして親を失った悲劇の子となっていた。
その後両親の知り合いを名乗る人が何人か訪ねて来たが、その誰もが取って付けたような同情と、根拠の無い犯人は必ず罰を受けるという言葉を吐いて帰って行った。
家族がいる、親がいる、つい先日まで当たり前で、日常として受け止めていたモノ。
それは突然消え失せ、代わりに非日常がやって来た。
今は非日常だけれど、いつかは自分が君の日常になる。
直接心に響いたその声としか表せない声でないモノは言葉通り、知らぬ間に"非"を取っ払い、2文字の言葉になっていた。
しかしその帰ってきた日常は全くの別物で、呆れるほどにモノクロで何の楽しさもない、はっきり言って最悪のものだった。
そしてそれは今も続いている。
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