第15話 移動中


〜フェルーン星系・第二艦隊旗艦スノー・応接間〜


ワープゲートに到着し、そのまま突入したのだが忘れてたことがあった。


天空城の存在だ。



「ルミナ殿...あれは一体...?」


あっ、天空城のこと何も説明してなかった。そりゃワープゲート潜ったら目の前に巨大天空城が宇宙空間に浮いてるんだからびっくりするわよね。まぁ大公達の反応が面白かったからいいか。


「あれは天空城アクエリアス、我が組織の移動型本拠地です。またあれとは別に固定型本拠地も存在しています。ヒビキ、第一艦隊は通常任務へ戻らせて、第二艦隊は帝国艦隊の護衛を」

「了解いたしました。第一艦隊は通常任務へ、第二艦隊は帝国艦隊の護衛に付くように指示します。旗艦スノーの航路はこのままで良いでしょうか?」

「ええ、このまま城までお願い」


ヒビキが一礼して1歩も動かずにコア経由で指示を出す。第一艦隊は近衛任務へ、第二艦隊は帝国艦隊の護衛だ。ここで何かに襲われて損害を被ったとかで何か請求されても困るからね。

お茶を飲みつつ考える。条件は言った。証拠もまだ量子通信は見せてないけどそれ以外は見せた。あとは向こうの反応と条件次第かな?

そんなことを考えているとふと大公が質問をしてきた。


「して、いくつか質問いいかね」

「ええ、構いませんよ」


天空城のことだろうなーと思いつつ顔に笑みを貼り付ける。これ結構疲れるのよね...


「そなたらは組織を名乗っているが国家はなのらんのだな」

「国民がおりませんので」


1つめがこれか、組織についても色々と聞かれそうね。

大公は真剣な顔でいくつか質問してくる。


「そうか、次は組織の後ろ盾はなにかおるか?」

「いえ、宇宙において後ろ盾はありませんよ?」

「ん?宇宙においてとは?」

「我が組織を発足させた惑星において2国に伯爵位を賜っておりますの。ですのでその惑星上では後ろ盾がありますわ」

「ふむ。なるほど、では次だ、この組織の目的はなんだ」

「目的...ですか」


そういえば定めたことはなかったかな?強いて言うなら...「自由に生きる」かな?

んーーーーなんにしよう。


「言えないなら言わないでも構わないぞ。できるだけ答えてはほしいがな」

「ありがとうございます。先程の質問の答えですが...強いて言うならは『好きに生きる』ですかね」


少し考え込んでいたら大公殿下がそう言ってくれた。よしこれで答えられないのは答えなくていい言質取れたわね。

「好きに生きる」...いいんじゃないかな。実際今までも中枢のみんなが好きなように生きてるようなものだし。


「『好きに生きる』...か、ならこの交渉もそのための一貫だと?」

「ええ」


紅茶を飲んで無言で次を促す。


「そうか...次の質問だが、この技術はどこで手に入れた?」

「魔法科学技術のことなら主に私と研究班が研究し実用化させております」

「ふむ...それらは我々にも再現可能か?」


それ聞くの?純科学技術で成長してきた国に魔法技術を理解しろなんて難題でしかないと思うけど...でも頑張ればできないこともないかな?どのくらいの時間と資源が必要かは知らないけれど。


「わかりません。まぁ難題だとは思いますので相当な時間と資源が必要かと思われますわ」

「なら時間と資源を賭ければ再現できると?」

「できないことはないでしょうが実用化は無理だと思いますよ?」

「なぜだ?」

「そのあたりは研究していれば自ずと見つかるかと」


多分だけど、私が無理だと言っても研究する人やさせる人がいるだろうし、そのうちわかるでしょ。答えをあげ続けるのもあれだしね。


「むう...」

「会談中失礼します。もうすぐアクエリアス城の発着場へ到着いたしますのでご準備を」

「わかったわ」

「うむ、了解した」


もう着くのね。量子通信の機材は応接間に移してあるし行ったらすぐ使えるかな。ああ、いくつか客室貸そうかしら?みんな長旅で疲れているだろうし。

...高天原のこと聞かれたらほんとどう答えようかしら...とりあえずリアクターって答えるしかないかしらね...波長のこともあるし...ん?あっ、やばっ、いやまだ大丈夫か。あの指輪予備何処おいておいたっけ、あれがないと耐性が無い人は高天原から出る魔力波長は劇毒になりかねないのよね...


「ヒビキ、指輪の予備はどこかわかる?」

「...はい、マスターお母様。全て第八倉庫にあります」


え.........まじ?


「そういえば波長のことがございましたね、スノー内部では結界があるので大丈夫だったようですが外に出たらお客様方は不味いです」

「誰かに運ばせれる?」

「無理です。第八倉庫はマスターお母様専用倉庫でアクセス権限がマスターお母様しか持っておりません」


なんでそんなとこに全部閉まっとくのよ私ー!

叫びたい気持ちを抑えながらどうしようか考える。やっぱり転移して急いで取ってくるしかないかな...


「どうしたのだ?」


あっそうーいやここ応接間だった。

細かい内容は聞こえてないはずだが、大公殿下が私達の会話を不審に思ったらしく質問してきた。


「えーっとですね。この天空城には防犯システムが有りまして、それを反応させないようにするための指輪を大公殿下たちに嵌めていただこうと思ったのですが天空城の倉庫にしか無く...なので取ってまいります」


流石に毒のことを言う訳には行かないから防犯システムって言ったけどよく考えてみれば実際そうとも言えるわね。


「なるほど、私達も防犯システムには引っかかりたくないからな。戻ってくるまでここで待機していよう」

「ありがとうございます。すぐに取ってまいりますので少々お待ちください」


そういった直後、私は残りの紅茶を飲み干して立ち上がり転移陣を展開して第八倉庫前に転移。さっさと指輪を10個ほど回収して数分で応接間へと転移で戻ってきた。

大公殿下たちはもちろん固まってましたよ?ふふっ


◇◇◇◇◇

最近執筆速度早い!

でもこれ交渉長すぎかな...?

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