第二章 SF世界へ
第13話 帝国探索艦隊
〜シーロンⅣ・天空城・中央制御室・夜〜
私は中央制御室でワームゲートの最終調整を行っていた。ワープ・ワームゲート計画を始動させてから半年、異空間の研究に逸れたりもしたがワープゲートはついこの前最終調整を完了させ設置を開始している。この最終調整と設置が終われば長距離移動が随分と楽になるわね。
と、作業をしていたのだが、突然警報が鳴り出した。
「え?報告!」
「はい、占領下のフェルーン星系に正体不明艦隊が侵入してきました。現在第四ワープゲート防衛と正体確認のため第二艦隊がフェルーン星系へ向かいました」
ヒビキからの報告を聞いてどうしようかと悩む。フェルーン星系は現在アクアスが占領下に置いている星系の中でも辺境に位置している。だから早めにワープゲートを設置したのだが...なんにしろ正体がわからないと何も動けないわね。
「ワームゲートの最終調整は一旦停止、正体不明艦隊の方に集中するわよ。第二艦隊の現在位置は?」
「はい、ワープゲート停止。第二艦隊は正体不明艦隊の正面で停止、相手艦隊も停止したとのことです」
よかった。敵対は今の所してないみたいね。通信を...あっ、通信できないかもしれない...うちの通信システム魔力使ってるから純科学だと無理かもしれないわね...
「何があった」
リアムが中央制御室に入ってきた。状況は知らないみたい。
「不明艦隊がフェルーン星系に侵入して今は第二艦隊と睨み合ってるわ」
「そうか...通信は?」
「繋がりそうもないわ、相手艦隊からの魔力反応が無いから多分純科学よ」
「そりゃ繋がらねぇなぁ」
「どうしましょうか...」
既に睨み合いを始めて10分は経つ。何か行動を起こしたいけど、まず向こうから攻撃してこない限り敵対は無し。船を送ってみる?いや、送るための人員があの艦隊には居ない。今から私達が直接向かうのもあり。てか交渉するなら私かリアムがいないと駄目よね。
と、どうするか悩んでいると向こうが先に行動した。
「
「え!?えーっと、とりあえず格納できる?」
「はい、旗艦スノーはまだスペースがありますので格納できます。しますか?」
「お願い」
「了解しました。不明艦隊小型船を第二艦隊旗艦スノーに格納開始します」
小型船でこっち来てるってことはやっぱり相手は話し合いをしに来たと考えて良さそう。ならこっちも出向かないとね。
「俺達はどうする?」
「とりあえず向こうに行くわよ向こうは対話を求めてくるでしょうし」
「だな、第一艦隊集結!総帥と副総帥を旗艦武蔵に乗せて第二艦隊と合流する!」
さて向こうに行く準備整えて急いで向かわないとね。
〜フェルーン星系・第二艦隊旗艦スノー・格納庫〜
全身白を基調としたデザインのアクアスの軍服に着替えて準備して移動して1時間後くらいに到着した。
「小型船には合計10人乗っており、降りてきたのは護衛含め5人で、既に応接間にお通ししました。スキャンで言語は解析し、翻訳用の結界を応接間内部に貼りましたので言語の壁はありません」
「わかったわ」
廊下でヒビキから報告を聞きながら応接間へ私を前にしてヒビキとリアムは後ろを歩いている。
応接間前に到着すると二人が両開きの扉を開けてくれたので中に入る。
そこにはソファーに座る中年男性とそのすぐ後ろに秘書?っぽい人が立っていて、さらにその後ろに護衛と思わしき3人が立っていた。もちろん武装解除している。相手側のソファーに座ってるのが一人なのでこちらも一人がいいだろうから二人にはソファーの後ろに立ってもらって私は相手の真正面のソファーに座った。
数秒間沈黙が走る。先に笑顔を作って話し始めたのは私だ。
「まず自己紹介をしましょうか。私はアクアス総帥のルミナ・エコー・ショールよ」
「...私はルーベルト銀河帝国大公のアルベルト・フェル・ルーベルトだ現在はこの探索艦隊を率いている」
ソファーに座ってる大公が真顔で銀河帝国大公を名乗った。この銀河にはそんな勢力いなかったから別の銀河から来たのかな?
「銀河帝国の大公殿下が私の占領地になんの用かしら?」
「貴様!このお方が誰であるかいまさっき名乗っておられただろう!」
「静まれマルタよ、今は別銀河の組織占領下の宙域に我々が侵入してきている立場なのだから」
「はっ、出過ぎた真似をしました。申し訳ございません」
護衛の一人が私の言葉遣いに怒ったが大公殿下が収めたわね。
「返事を聞いても?」
改めて笑顔を作りながら聞くと大公殿下が真剣な目になって話し始めた。いや、品定めしている目かな?
「部下がすまなかったな、で、返事だが。我々帝国探索艦隊はこのファーレスト銀河の探索をしに来た。その途中で莫大なエネルギー反応を探知し様子を見に来たら其方らと遭遇して今ここにいる」
なるほど、やっぱり別の銀河から探索に来ていたのか。となると今後は基地建設と占領かしら?ここまで来たってことは今後うちの占領地まで手を出してきそうね。ならいっそ向こうの傘下に入って貴族位を貰って統治しようかしら。
「そのエネルギー反応は多分ですが近くにあるワープゲートでしょうね、探索に来たということはいつかこの宙域は帝国領になっていそうですね」
「その辺りはまだ決まっておらぬゆえどうなるかはわからんがそうなるだろうな」
正式決定はしてないみたいだけど様子を見るに帝国はこっちにも侵攻してきそうね。んー本格的に帝国傘下に降りようかしら。
「帝国の傘下に降りるも独立するも判断は任せる」
リアムがこそっと耳打ちしてきた。いいの?って思ったけどそういえば総帥だったわ。
「なら条件と環境次第では帝国傘下に降りてもいいわよ」
相手側全員固まっている。おもしろいわね。内心笑いながら返答を待つ。護衛や秘書はまだ固まったままだけど大公殿下はすぐに返してくれた。
「それは何よりだ。してその条件と環境について詳しく話してもらえんかの」
「ええ、もちろんですわ。条件は...っと、その前にそちらの帝国についての情報がありませんので条件を出そうにも出せませんわね」
「それもそうだな、旗艦のデータベースに帝国についての情報が乗っている。それを送れればいいんだが通信が繋がらないのではないか?」
ちらりとヒビキを見ると頷いたので大丈夫そうね。
「それにつきましては既に解決したようですので問題ありません」
「そうか、なら旗艦に連絡させてもらえるなら送らせよう」
「ありがとうございますわ」
このあとすぐヒビキがこの場で向こうの旗艦と繋げてデータを送ってもらった。
みんな空中に急に画面が表示されたのに驚いたみたい。護衛の人や秘書の人は動揺が分かりやすかったわね〜、大公殿下も少し動揺していたみたい。まぁ純科学文明の住人なら魔法技術は見たことなさそうだしね。当然か。
◇◇◇◇◇
第二章突入!SF開始。
ここからやっと本格的にSF世界へと突入していきますのでお楽しみに。
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