第22話 圭のナミダ
美華が職員室に行っている間。私は窓の外をみながら考えていた。
聞きたいこときけるかな。
でもここまでやっときた。
ここまでこれたのも、本当美華のおかげ。
私は本当に今まで自分の思いを話した事なんてなかったのに。
友達にも親にも...。
初めて私の気持ちを伝えた圭。
初めて自分の苦しみを伝えた美華。
私はほんの少しずつだが変わっている。
一歩一歩進んでいる。
皆よりかは進むの遅いけど、自分のペースでいい。
そう思っていた。
すると美華が帰ってきた。
「おまたせー!!もぉ大変だったよー!」
彼女が疲れた様子で私の所にきた。
「何かあったの?」
と私は聞く。
美華「先生に唯愛からの手紙って渡したんだけど、なかなかその場で開けなくて。もしかしたら私が立ち去っても開けないんじゃないかと思って先生に言ったの」
「こうして向き合おうとしてくれてる人がいるんだよって」
「そうしたら、先生泣いちゃってさぁ~。どうしたらいいかわからなかったけど、涙流しながらゆっくり手紙開けてやっと読んでくれたよね。そしたらまた泣いちゃってさ。本当、職員室に誰もいなくてよかったよー」
その彼女からの言葉を聞きビックリした。
彼が泣いた?
なにか怖かったのかな?
何を思って泣いたのだろう。
美華「でも先生ちゃんと手紙読んで、公園にきてくれるって言ってたからさ!大丈夫!」
唯愛「ありがとう。美華。ここまでしてくれて」
美華には頭が上がらない。
彼女からすれば愛している人が悲しんでいる姿を見たくないという気持ちが心のどこかにあるのだろう。
美華「よおし!公園まで一緒に行こっ!」
と言い、久しぶりに私の手を握ってくれた。
美華「こっこれは唯愛の後押ししてあげたいだけから...ねっ!」
と言い彼女と私は教室を後にし公園まで向かうことにした。
彼女の思い。
彼女だって辛いのにそんな考えができる事に尊敬した。
そして誰もいない美華の家の近所の公園にたどり着いた。
空を見上げると夕陽はまだかろうじて月に負けていなかったが、体力も落ち月が元気になりつつなる。
美華「私は家に帰ってるから!でも私の家すぐそこだし何かあったらすぐ言いなよっ!吐き出したかったら全て私が受け止めるから!」
そおいって肩をポンッと叩きその場を去っていった。
美華は大事な時にこうして触れてくれる。
本当、以前とは違いたくさんの勇気をもらう。
以前との違い...。
本当紙一重なのかもしれない。
公園のベンチに座り、空を見上げながら私は彼を待っていた。
すると入り口の向こうからテンポの速い革靴の足音が聞こえた。
圭だ...。
彼は汗を流し、息を切らし私をその場から見つめている。
私は彼に聞こえるか聞こえないかの声でボソッと口に出した。
「.....圭」
私が何を言ったか聞こえてはいないが、私の口の動きを見て彼は言う。
「唯愛!」
そお言って彼は私の所にすぐさまやってきて、そして私を抱きしめた。
彼の香り..。
フワッと吸い込まれそうな甘く癒やされる香り。
前よりも細くなった腕。
でもそんなの気にならない。
私は彼にどれだけ抱きしめられたかったか。
細い腕でもいい。
圭は圭。
私もすぐに彼を抱きしめた。
そして彼は私の目を見つめ、キスをする。
何度も何度も。
今までの不安を彼のキスが全てを跳ねのけどうでもよくさせてくれた。
あの日動物園でパンダを見たとき以来の彼とのキスだった。
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