第4話 圭ノ味
圭「今日授業したところはここか。ここ通貨にまつわる歴史の話をしてたんだよー」
本当に楽しそうに話す。
それに授業の時にわくわく話す先生の時の雰囲気と違って、こっちの方がさらに無邪気になって可愛い。
でもなんでこんな物静かな私になんか、こんなマンツーマンで誘ってきたんだろう。
もっと他の生徒で可愛い子たくさんいるのに...。
もっと受け答えも彼の理想どおりに返せる女の子他にもいっぱいいるはずなのに...。
たまたま私が図書室に入ろうとしたから?
彼が楽しそうに話している内容がだんだんと、耳に入ってこなくなった。
そうだよね...。そうに決まってるよね。あの誘い方少し気を使ってるように見えたもん。
私が息を切らしてたから、困って間違えて誘っちゃったんだよ。うん。そうに決まってる。
じゃないと私となんか...。
圭「唯愛さん?」
彼が私の名前を呼んでくれたことで我に帰ってくる私。
唯愛「すっすみません」
心でたくさん嫌な事を思ってしまい、自然と口にでた。
圭「俺の方こそごめん。つい気づいたら夢中になって話しちゃってたよ。」
唯愛「いえいえ。私の方こそ。」
「でも私、先生のそうゆうとこ好きです!」
................................。
つい口に出していってしまった。
こんなこと言うつもりなんてなかったのに。なんで?
私の心の中の何かが、私の感情を湧きだたせたのだろう。
好きって言葉、まだ産まれてから一度も言ったことなんてないのに。
せっかく、3重に赤くなっていた顔が通常に戻りつつあったのに、また再度さっきよりも赤くなった。
それに全身も熱い。
するとその時。
ふと、あの香りが私の方になびいてきて、その直後、そっと私の唇に全身溶けてしまいそうになるくらいの柔らかい"なにか"が触れてきた。
一瞬で全身の力が抜けてしまった私。
圭にキスをされたのだ。
人生初めてのキス。
私は気づけば彼に一目惚れしていたのだ。
本当に本当に幸せなこと。
こんなことされて。
嬉しい。
嬉しいけど...。
でもなんで私...?
なんで急に...?
でも私の好きな人...。
この香りと彼の味...。
その後も私は圭のリードに何もできず、ただただ彼に身を任せた。
優しいキス。優しく抱きしめるその彼の腕。
夕陽も半分沈み、オレンジ色に広がった空の向こうで太陽は、身を任せている私を見てあのときどう思っていたのだろうか。
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