第9章337話:vsサリザ2

しかしサリザは気合いで苦痛を跳ねのけ、叫んだ。


「舐めるなァッ!!」


サリザが激情をあらわにしながら、斬撃を放ってくる。


それをかわしながら、私はアッパーカットを叩き込んだ。


「ぐふっ!!?」


サリザがひるんだ。


しかし負けじと剣の刺突しとつを放ってきた。


私はそれをくるりとかわしながら、旋回するように裏拳うらけんを放った。


「かっ!!?」


私の裏拳がサリザのこめかみを直撃する。


サリザがよろめき、膝をついた。


私は告げる。


「怒りに飲まれると、攻撃が雑になるんですよ。さっきからサリザさんの動き、めちゃくちゃわかりやすいです」


「……ッ!」


「それにしても、やっぱり武器なんて要らなかったですね。あなたごとき、拳だけで十分……その判断は、間違ってなかったようです」


と私は、にこにこ笑いながら、あおるように言い放った。


サリザが激しく歯ぎしりした。


「テメエエエエッ!!」


発狂しながら、サリザが斬りかかってきたが。


私は、剣を持つサリザの腕を取って、手首をはたいた。


「……ッ!」


サリザが剣を取り落とす。


舌打ちしながらサリザが、そのまま拳で殴りかかってきた。


私は微笑みながら尋ねる。


得物えものは使わないんですか? 勝負にならないですよ?」


「うるせえ!! あたしは素手のほうが本命なんだよ!!」


明らかに強がりだ。


相当、頭に血がのぼっているらしい。


まあ私は別に、素手の殴り合いでも構わない。


「ふっ!」


「ぐっ!!?」


クロスカウンターでサリザの顔面を打つ。


サリザが負けじと前に出てこようとしたので、私は機先きせんせいするように前蹴まえげりを食らわす。


「く、……くそがァッ!!」


サリザが激怒しながら拳を打ってくるが、それを回避しつつ、私はローキックを食らわす。


その後。


パンチをみぞおちと顔面に。


蹴りを5発。


最後に、後ろ回し蹴りを顔面に食らわして、サリザに膝をつかせた。


「はぁ……はぁ……はっ……はぁ……はぁ……畜生ッ!!」


サリザが汗だくになっていた。


対して、私のほうは少し汗ばんでいるぐらいで、けろっとしていた。


サリザが憤怒ふんど形相ぎょうそうで私をにらみつつ、右手に魔力を込めた。


「これでも食らいやがれ!!!」


右手を前に突き出すサリザ。


次の瞬間、放たれたのは巨大な火炎球かえんきゅうである。


ルフシャ砂漠国でも似たような攻撃を食らったことがあったな……


と思いつつ、私は防御結界ぼうぎょけっかいを張り、火炎球を無効化した。


火炎球が霧散むさんする。


「!?」


サリザが驚愕した。


「あたしの魔法が効かねえ!?」


「私に魔法は通用しません。さきほど魔法兵まほうへいたちの攻撃を無効化するところを見てなかったんですか?」


と私は告げた。

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