第7章284話:料理

川魚かわざかなを確保したあと。


私たちはしばらく歩いて、森の切り取られた一角にたどりついた。


木々に囲まれた、半径30メートルぐらいの広場だ。


泉がある。


泉の近くにキャンピングカーを取り出す。


私は言った。


「キャンピングカーの外で、ランチにしましょう」


するとアリスティが尋ねてくる。


「バーベキュー、ということでしょうか?」


外での食事というと、かつてリズニスの湖でおこなったバーベキューを思い出したのだろう。


私は首を横に振って否定の意を示す。


「いいえ。野食やしょくではありますが、バーベキューではありません。もっとシンプルなものです」


そう告げてから、私は錬金魔法で、必要なものを用意することにした。


まず、食卓となるウッドテーブルを製作。


座るためのウッドチェアも作る。


これらを日当たりのいい場所に設置。


「うん、こんなものでいいでしょう。あとは食事を作るだけですね」


私はキャンピングカーの中に入り、キッチンに立つ。


そこで昼食を作る。


小一時間ほどが経って。


完成した。


できた料理を、外のウッドテーブルへと運ぶ。


「できました。天ぷらと炊き込みごはん定食です」


私はそう宣言する。


昼食のメニューは、


マガヒチダケの炊き込みごはん


マガヒチダケの刺身


クナスイワナの天ぷら


カボチャ、ナス、しその天ぷら


味噌汁


キュウリの漬物。


……以上である。


なお天ぷらには、だいこんおろしと天つゆ。


マガヒチダケの刺身には醤油とわさびを用意している。


(完璧だ……)


私はにやりと笑う。


ホクホクの炊き込みごはんと、天ぷら。


美味しいに決まってる。


良いにおいがただよって、食欲を刺激してくる。


ニナは言った。


「見慣れないメニューですけど、すごく美味しそうですね!」


アリスティも同調する。


「匂いも良いですね。これを外で食べるんですか?」


「ええ。食事は、景色を眺めながら食べれば、一層美味しくなりますからね。あとは……」


サイドテーブルを用意する。


そのサイドテーブルの上にスピーカーを配置。


音楽を再生する。


「BGMも付けたら、準備は完了です」


スピーカーから流れてくるのは、和風音楽を意識して作ったピアノソロだ。


こと三味線しゃみせんなどの和楽器わがっきを混ぜると、もっと良くなるんだけど、私、ピアノしか弾けないからね……。


ただ、和風の雰囲気はしっかり出ている。


秋の森で和食メニューを楽しむには十分だろう。




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