第6章225話:アリスティvs砂ワーウルフ

サンドワーウルフが接近し、アリスティと交戦し始める。


サンドワーウルフは2メートルぐらいの巨体の魔物である。


人型であり、移動の際は四本足で走っていたものの……


現在は人間のごとく二本足で立っている。


全身を砂色の毛並みで覆われており、両手両足のツメはするどく、首から上はオオカミである。





まず、右のサンドワーウルフの攻撃。


鋭利な爪によるひっかき攻撃だ。


ほとんど斬撃と呼んでもいいレベルの、鋭い爪撃そうげきであるが、アリスティは難なく回避する。


さらに左のサンドワーウルフのタックル。


これもアリスティはすんなり避ける。


反撃に転じたアリスティが、剛烈ごうれつなパンチを繰り出した。


だがサンドワーウルフがサッと後ろに退いてかわした。


(避けられた……!?)


私は、内心驚く。


サンドワーウルフが、まるで格闘技のごとく後ろ回し蹴りを放つも、アリスティは危なげなく回避。


今度はアリスティがアッパーカットを繰り出すが、サンドワーウルフはまたもや回避した。


「すげーな。本当にサンドワーウルフと互角にやりあってる!!」


と、ヴァルリーさんは衝撃に目を見開いて、アリスティの戦いぶりに感嘆していた。


しかし、私の感想は逆である。


むしろ、アリスティと互角にやりあえているサンドワーウルフに驚いていた。


アリスティのパンチが当たらないのである。


(サンドワーウルフ……思ったより強い魔物だね。あんなのが2匹もいるとか、ヤバいわ)


私が戦ってたら負けてただろう。


まあ、音響兵器かスパーク爆弾を駆使すれば勝てるだろうけど……


近接格闘きんせつかくとうなら、サンドワーウルフに勝てる自信はない。


と、そのときクルルさんが疑問を呈してきた。


「ただ、サンドワーウルフのほうが速いですよね。攻撃が当たらないと勝てないんじゃないですか?」


まさしく、クルルさんの分析は正しい。


アリスティは、攻撃力が大陸最強レベルではある。


しかし、スピードは別に最強ではない。


サンドワーウルフが、アリスティに即死させられずに済んでいるのは、まさしくスピードを活かして、アリスティの攻撃を回避しているからだ。


いかにアリスティのパンチ力が規格外でも、当たらなければ意味がないのである。


だが……。


「大丈夫です。アリスティは、最強ですから」


と、私は微笑みながら告げた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る