第6章208話:砂トカゲ

というわけで、アンチマテリアルライフルを用意――――


いや、


アンチマテリアルライフルは威力が高すぎるから、ダメだね。


肉がはじけ飛んだら後の処理が大変になる。


アサルトライフルにしておこう。


私は【射撃補正の指輪】とアサルトライフルを準備。


射撃した。


魔弾なので1撃で撃破できる。


砂トカゲの肉を回収する。


「相変わらず、とんでもない武器ですね」


と、アリスティはアサルトライフルに感心を示した。





そのあと。


私は、植木鉢を錬成し――――


砂漠に生えていた小さなサボテンを一つ、植木鉢に入れて回収することにした。






キャンピングカーに戻る。


植木鉢に入れたサボテンを、床に設置する。


倒れたらイヤなので、植木鉢の底面に接着テープを貼り付けてある。


フォークのような形をしている、可愛らしいサボテンだ。


(やはり、多肉植物はインテリアとして優秀ですね)


と、私は満足げに微笑んだ。


「さて……お昼ごはんを作りましょうか」


そう私が告げると、アリスティが言ってきた。


「お任せください」


「いえ、今日は私が作ります」


最近は、ほとんど料理はアリスティに任せきりだが……


ちょっと試してみたい料理があったので、今日は私自身で作ることにした。


料理を始める。


40分後。


完成である。


砂トカゲ肉のバターガーリックソテーである。


にんにくとバターの香ばしいにおいが立ち込める、砂トカゲのソテー。


たまねぎと野菜で、風味を出し、旨味を閉じ込めてある。


「できました」


メニューは、


砂トカゲ肉のバターガーリックソテー。


わかめのスープ。


ホクホクのご飯。


お茶。


……である。


「わぁ……」


ニナが目を輝かせる。


私は言った。


「さっそくいただきましょう」


食前の祈りをおこなう。


そして、食べ始めた。


ニナがフォークで肉を突き刺して、食べる。


「こ、これ……美味しいですっ!!!」


感動で目をきらきらさせていた。


私は言う。


「ライスと一緒に召し上がっていただくと、最高ですよ」


「はい!」


ニナが肉とライスを一緒に食べ始める。


アリスティも、肉を食べる。


「本当に美味しいですね」


と、感嘆していた。


「ニンニクの香ばしさ、バターの旨味、それから肉のスパイシーな味わい。たまねぎの苦味と甘味が良いアクセントになっていますね」


「たまねぎは苦くてまずいイメージがありますが、他の味を引き立てることにかけては最高の野菜ですね」


「勉強になります。さすがお嬢様の料理は、洗練されていますね」


現代地球の料理は、たしかに洗練されている。


複数の味覚を一つの料理の中にまとめる工夫をしているからだ。


そこらの庶民料理ですら、異世界の高級料理をしのぐ。


アリスティは聞いてきた。


「あとでレシピを教えていただけますか?」


「はい。もちろんです」


私はそう答えた。


そして私も食べ始める。


「んー、美味しい!」


やわらかい砂トカゲの肉は、かみしめると、スパイシーな旨味がしみだして……


そこにバターとニンニクの香ばしさ、旨味が絡みつき、最高のソテーになっている。


匂いもめちゃくちゃ良い。


ああ、これはご飯と絶対合う!


さっそく試そう。


ホクホクでふっくらとした白米とソテーを同時に食べる。


ふおおおおおおお!!


美味しい!


ああ、幸せ……


幸福感に、脳が喜んで、きらきらしてくるのがわかる。


わかめスープも良いお口直しだ。


こうして。


楽しいランチの時間が過ぎていった。

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